刑事裁判における「第1回公判期日」の意味

「第1回公判期日」とは要する刑事裁判の最初の公開法廷の日である。
しかし刑事訴訟法上は、そのような形式的な意味ではなく実質的な意味で使われているとされる。
刑訴179、226、227、(275?、)280である。

これは要するに『予断排除の原則』の観点から、事件担当の裁判所が事件に触れるまでは
別の裁判官がいろいろな手続に関与するということである。

ここで問題となるのは、どこまで手続が進んだら「第一回の公判期日」が終了したといえるか、である。
冒頭手続のどの段階であるかについて説は分かれており
ゝ訴状朗読までなされた段階
被告人の罪状認否がなされた段階
J杆鄂佑虜畩?否もなされて証拠調べ手続に移行できるようになった段階
があるようだ。

が一番丁寧な気もするが、どうも被告人自身の主張が出れば『予断排除の原則』との関係では
十分であろうとのことで、△有力のようである。
そして、△両豺隋被告人が黙秘した場合は「第一回の公判期日」を行ったといえるかが
派生的な問題として生じる。
この点、罪状認否は機会を与えればよいものであって、被告人が黙秘権を行使した場合には当然
その後の証拠調べ手続などに入ることができると考えられていることから、
「黙秘する」との罪状認否であれば被告人の罪状認否は終了したと考えてよいようである。
(なお、被告人が罪状認否をその時点で留保した場合は通常罪状認否は終了していないと
捉えられるようである)。
したがって、黙秘する旨の被告人の罪状認否がなされたら、その時点で「第一回の公判期日」は
終了したとみてよいようである。

ところで、接見等禁止決と定という決定がある。
この決定では、禁止が無制限にわたらないよう、例えば「第一回公判期日まで」とか
「第二回公判期日まで」との期限が付されていることが通常である。
この際の「第一回公判期日」はどう考えればいいのか、という問題がある。
形式的な数字という説もあり、安全策として請求側がそう考えることは否定されていないようだが、
どうもここでも実質的な第一回の実施の有無としてとらえられているようである。
なかなか難しいものである。