少年法・交通犯罪における法改正の動き その2

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120907-00000091-mai-soci毎日新聞
> また、少年法を巡っては、少年の法定刑の引き上げや、
>少年審判に検察官や弁護士が関わることができる事件の範囲を広げる見直し案が示されている。

> 「少年犯罪被害当事者の会」の武るり子代表(57)は「少年の法定刑が軽すぎることを指摘した
>裁判員裁判の判決もあったからか、ようやくここまで議論が進んだ。
>法定刑を引き上げることは厳罰化ではなく、適正化だ」と評価。
>検察官が少年審判に関わる事件の範囲が拡大することについて
>「被害者が求めてきた事実認定がきちんとされる審判が増えるという点では期待できる」と話した。

> これに対し「『非行』と向き合う親たちの会」副代表で元東京家裁調査官の浅川道雄さん(81)は
>「少年法の厳罰化傾向は、教育と福祉を目的とした法の理念にも、国際的な潮流にも反している。
>検察官関与制度の範囲拡大も、審判の趣旨から離れていくものだ。法制審では、
>家裁調査官や少年院の法務教官など現場で少年の調査や更生に関わる職員たちの意見も聞くべきだ」と語った。

少年法の改正は、はっきり内容がでています。

http://mainichi.jp/select/news/20120905k0000m010075000c.html毎日新聞
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/09/04/kiji/K20120904004041690.htmlスポニチ

>現行の少年法は、犯行時18歳未満だった少年に無期刑を言い渡す場合、
>10~15年の有期刑に軽くすることができると定めているが、
>改正案では上限を20年に変更。

>判決時20歳未満の少年に3年以上の有期刑を言い渡す場合は刑期に幅を持たせる不定期刑とし、
>上限を10年とする現行の規定については、
>上限を15年にするとしている。
>刑法によると、成人に対する有期刑の上限は一つの罪で20年、二つ以上の罪を犯した場合は30年。

>犯行時18歳未満の少年に死刑を宣告すべき場合、無期刑に軽くする規定は見直さない。

>少年審判に検察官と国選付添人の弁護士が立ち会うことのできる対象事件を
>懲役・禁錮の長期が3年を超える罪に拡大し、窃盗や傷害などを加えることも盛り込まれた。
>これまでは短期が2年以上の罪となっており、

 少年法における各改正は基本的に妥当なものだと思っています。

 刑罰の点は、成人とは差がありつつも、上限を挙げています。
  18歳未満に死刑を言い渡す場合→無期刑(改正せず)
  18歳未満に無期刑を言い渡す場合→10~20年(10~15年)
  20歳未満に3年以上の有期刑を言い渡す場合→上限15年(上限10年)
 少年が検察官送致によって重い刑罰を科される場合、あるいは、成人してしまった犯行時少年の場合、成長(?)が進み、人格の固定化が強いのが一般的であると思われるため、成人処罰との間隙が大きくなり過ぎてしまっていると感じるため、上げないよりも上げた方がいいという意味で妥当かと思います。

 次に、検察官関与事件の拡大です。
 事実に争いがあり認定を要する事件に検察官を関与させることができる事件が拡大されるのは、
多くの争いのある事件で、捜査機関の捜査の充実を促し、対立構造の導入によって、真実発見に近づき、
また、事実認定を行う裁判官の負担を軽減させることにもつながります
(弾劾しながら更生を量らせようとすることで裁判官を困難な立場に置いていたといえますので。)。

 検察官の関与は、少年審判の雰囲気を壊すという批判もあるようですが、事実認定に鋭い争いがある事件で、通常の少年審判にある雰囲気など期待する方がおかしな話ですし、適正な事実認定あってこその審判であるということを忘れてはならないと思います。

 また、国選付添人の範囲も長期3年超の刑に拡大することは
(多分、現行法との関係で身柄拘束のある少年に限ると思われますが)、
これは身柄事件において当番付添人制度の充実があることを念頭におけば
それの拡充であって(手弁当が国の予算が付くようになるという意味で)、
ますますの、少年の権利擁護、(付添い人が適切に活動すれば)更生に資することだと思います。

 そんなわけで、基本的にどの点も賛成というのが今のスタンスになります。