【再生】小規模個人再生の流れ

<小規模個人再生手続の流れ>
1 申立て準備段階
債務者の相談→正式受任(処理方針決定)→受任通知発送・債権調査票同封,申立書その他の提出書類の作成・準備開始→債権調査票の検討,住宅資金特別条項を入れる場合には貸付金融機関との協議→申立て
 
2 申立て
(1) 再生手続開始原因(再生21)
ア 破産手続開始の原因となる事実が生じるおそれ
イ 事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができない
 →疎明必要(再生23)
 *債権者申立ての場合,イを原因として申立てできない(再生22Ⅱ)。
  また,自己の有する債権の疎明も必要(再生23Ⅱ)。
(2) 小規模個人再生手続の利用適格要件(再生221)
再生手続開始申立てと同時に小規模個人再生を求める旨の申述をする(再生221Ⅰ)
①個人の債務者
②将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み
③無担保の再生債権総額5000万円以下
(3) その他
 個人再生委員の選任(再生223)
 中止命令等(再生26~31)
 
3 開始決定
(1) 再生の開始条件(再生25)
 次のいずれにも該当しないこと
①予納金の不納付
②破産型手続による方が債権者の一般の利益に適合する
③再生計画案の作成・可決・認可の見込みがないことが明らかなとき
④不誠実申立て
(2) 決定(再生33)
 決定と同時に定めるべき事項(再生222Ⅰ)
 ア 再生債権届出期間
 イ 届出のあった再生債権に対する一般異議申述期間
     cf 再生計画案提出期間の終期も同時に定めている
   公告(再生222Ⅱ)
 
(3) 効果
 ア 再生債務者の地位(再生38)
  DIP(Debtor In Possession 占有継続債務者)型
 イ 債権
  届出不要(再生224),額を争うなど権利主張あるときは届け出る。
  債務者に債権者一覧表の提出を義務づけており,債権者一覧表への記載により届出をしたと見なされる(再生225)
  評価手続(再生227)
   cf 共益債権となる請求権(再生119~)、一般優先債権(再生122)、 開始後債権(再生123)
 ウ その他
  否認権等の行使は小規模個人再生ではできない(通常,清算価値に上乗せして最低弁済額で考慮する扱い)。
  法人債務者を前提とする規定は適用されない。
  通常再生に比べ,手続簡素化が図られている。
 
4 再生計画案の提出と付議決定
(1) 計画案の主な内容
①権利変更の一般的な基準を定める(再生229Ⅰ)
②弁済期が3か月に1回以上到来する分割払,基本は3年(再生229Ⅱ,特別な事情があるには,3年を超えて5年を超えない範囲内)
③住宅資金特別条項の定め
④共益債権等の弁済に関しての記載
 cf 通常再生の再生計画(再生154~,適用除外される条文ある〔再生238〕)
(2) 付議要件
 ア 通常の再生手続と共通の不認可事由(再生231Ⅰ,174Ⅱ)
①法律違反で不備補正できない
②再生計画が遂行される見込みがない
③決議が再生債権者の一般の利益に反する
 イ 住宅資金特別条項を定めた再生計画案の場合の不認可事由(ア’)(再生231Ⅰ,202Ⅱ)
①法律違反で不備補正できない
②決議が再生債権者の一般の利益に反する
③再生計画が遂行可能であると認めることができない
④再生債務者が住宅の所有権,土地使用権を失うこととなると見込まれるとき
 ウ 小規模個人再生特有の不認可事由(再生231Ⅱ)
①将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがないとき
②無異議債権及び評価済債権の総額が(住宅資金,別除権行使により弁済受けられる額を除き)5000万円を超えているとき
③法定の最低弁済額を下回るとき(債権総額<100万円<債権総額の5分の1<300万円<債権総額の10分の1)
④住宅資金特別条項を提出する意思がある旨記載して条項の定めがないとき
(3) 可決要件(再生230Ⅵ)
 消極的同意要件。同意しない旨を書面で回答した議決権者が,①議決権者総数の半数に満たず,かつ②その議決権の額が議決権者の議決権の総額の2分の1を超えないとき。 cf再生172 積極的同意要件
 
5 認可決定(再生231ⅠⅡ,再生174Ⅱ,202Ⅱ)
(1) 要件
 ア 清算価値保障原則
 イ 収入の見込み,無異議債権等の総額
 ウ 最低弁済額要件
 (エ 住宅資金特別条項の定め)
(2) 効力(再生232),手続の当然終結
 
6 手続の廃止(再生237)
可決要件を充足しなかった場合
財産の不記載又は不正の記載
 
***付議決定できる再生計画案が存在しない場合も廃止決定
 
7 認可決定後
(1) 再生計画の変更(再生234)
(2) 計画遂行困難時の免責(再生235)
    いわゆるハードシップ免責
(3) 再生計画の取消(再生189Ⅰ,236)
    再生計画の履行を怠ったとして取消の申立てをされる例もある