【再生】住宅資金特別条項2

2 「住宅資金貸付債権」(法196条2号)
(1)住宅の建設・購入(住宅の用に供する土地や借地権を含む)・改良に必要な資金の貸付
登記手続費用、引越費用などの住宅購入等に関連する費目で、かつ、その額も全体に対する割合としてごくわずかであれば許容しうるかと思われます(いわゆる「諸費用」の借入)。
それなりの額を事業用に回している場合は許容されないでしょう。借入額と住宅購入費用に食い違いがあるときは要注意です。
また、借換となっている場合は前の債務の契約書を確認することが欠かせません。
(2)分割払いの定めのある再生債権
→一回払いは対象外です。普通、再生をするような人がそんな買い方をしているのは考えがたいですが。
(3)当該債権(当該債権に係る債務の保証会社の主たる債務者に対する求償権)を担保するための抵当権が住宅に設定されている
→抵当権は本来別除権として再生手続外で自由に行使でき、住宅が競売にかけられてしまいます。この場合に抵当権の被担保債権を特別扱いしてやらないと住宅を確保させられません。
逆に言えば、住宅に抵当権が設定されていなければ、住宅資金特別条項を利用することはできません。(住宅の敷地だけに借地権なりに優先する抵当権が存在しても利用できないということです)
3 住宅に他の別除権たる抵当権が設定されていないこと(法198条1項前段)
→他に別除権たる抵当権があると住宅資金貸付債権を優遇しても、その抵当権を実行されて住宅を失ってしまうことになるからです。
そうすると、複数の住宅資金貸付債権を被担保債権とする抵当権が設定されている場合、そのすべてについて住宅資金特別条項を設けるのであれば、上記のようなことにはならないので、認められます(法198条3項参照)。

4 住宅資金貸付債権を被担保債権とする抵当権が住宅以外の不動産にも設定されている場合に、この抵当権に後れる別除権たる抵当権が設定されていないこと(法198条1項後段)
→住宅資金貸付債権は住宅資金特別条項により特別に全額の弁済を受けられるため、これに劣後する抵当権は余剰価値が増えることになり、結果的に、一部の再生債権者だけが特別に恩恵を受けることになってしまうのを防ぐためです。

※修正予定あり