【DV法】保護命令手続の流れ

3 保護命令手続の流れ((1)以降は、平成19年運用8頁以下など参照)
 *より正確な概要としては、裁判所HP http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/minzi/minzi_05.html
 
(0) 避難、資料収集等
 被害者が、暴力により怪我をして治療を受けた場合には診断書をもらうことができます(傷害の立証)。
 女性の被害者の場合、DV被害者のためのシェルターが各地域にあるので、本人あるいは子供を連れてそこに避難するということがある。その際に手続を教示され、申立てに至るケースがあります。
 他にも離婚について弁護士に相談した際、この手続を申し立てることにするケースもあります。
 
(1) 申立て
 申立人又は相手方の住所・居所等を管轄する地方裁判所に対して、書面で申立てを行います。
 必要的記載事項は、当事者・代理人の氏名・住所、申立ての趣旨・原因といったものです。
 また、①配偶者からの暴力・脅迫を受けた状況、②更なる配偶者からの暴力により生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと認めるに足りる事情、③配偶者暴力相談支援センターの職員又は警察職員に対し、配偶者からの暴力に関して相談し、又は援助若しくは保護を求めた事実の有無及びその事実がある場合には、機関の名称、日時・場所、その内容、取られた措置を記載します。
(③の相談をしていない場合には、宣誓供述書の添付が必要となります。)
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(2) 審理
 裁判官と申立人との面接(審問)が、多くの場合、申立て日ないし数日後に行われます。
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 申立て内容や証拠を吟味し、発令の見込みがある場合には相手方を審問する期日(事案にもよりますが、特に問題がなければ約1週間~10日後?)を指定します。
 この際、申立人が提出した主張書面・証拠も相手方に送られます。
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 裁判所が審問期日で相手方の言い分を聴取し、発令要件を満たすと判断すると、保護命令が発令されます。
 発令要件を欠く場合にはさらに審理を継続するか、申立てが却下されることになります。
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(3) 決定
 地方裁判所により、保護命令を発令し、あるいは却下する決定が行われます。
 定型的な文言で発令される場合、理由又は理由の要旨が記載された決定が出される場合があります。
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(4) 即時抗告
 地方裁判所の決定に対して不服があれば即時抗告をして高等裁判所で争うことができます。
 発令された場合には、決定が確定する前であっても保護命令の効力が生じています(解説122頁)。
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(5) 再度の申立て
 保護命令は有効期間が法定されている(接近禁止及び電話等禁止は6か月、退去命令は2か月)ため、その期間が過ぎる際に、なおおそれがあれば申立てをして、再度保護命令を受けることが可能です。
 
(6) 保護命令の取下げ、保護命令の取消し
 申立人は保護命令が効力を生じるまでは申立てを取り下げることができます。
 また、保護命令発令後は、申立人からその取消しを求めることができ、一定期間経過していれば、相手方からも申し立てることができます。