免責手続及び非免責債権などについて

 免責は、これまでの借金の支払(破産債権に対する責任)を免れ、かつその他破産に伴う負担を免れる(復権。破産法255条)もので、破産手続を行う主眼ともいうべきところかと思います。
 各号に記載された免責不許可事由がない限りは免責され、もし、免責不許可事由がある場合でも、裁量によって免責されるのが圧倒的に多数となっています。
 手続としては、同時廃止事件にしろ、管財事件にしろ、破産手続開始決定後、一定期間(1か月以上)、免責に関する意見申述期間を設定して、意見の有無・内容を踏まえて裁判所が判断をします(破産法251条)
 
 主な免責不許可事由として次のようなものがあります(破産法252条)。
□ 財産隠しなどのように、破産債権者を害する目的で財産を減少させる行為
  例えば、他人に貴重な物品、現金を密かに渡してしまうなど。
 
□ 著しく不利な条件で債務を負担したり、信用取引で買いいれた商品を廉価で売却したりして、
 破産開始を遅らせようとする行為
  例えば、闇金からの借り入れなど。
  新幹線チケット、貴金属類を格安で売却して現金化して支払時期を凌ぐなど。
 
□ 申立て1年前の日から破産手続開始決定の日までに、支払不能と知っていながら、
 経済的な信用を積極的に偽って、ローンで商品を得る、金銭を借りるなどする行為(詐術)
 例えば、経済的な信用のある人を装って(偽名の使用とか)借金をするとか。
 
□ 著しく不当な偏ぱ弁済行為(特定の人にだけ、義務もないのに返済をする)
 
□ 浪費や射幸行為により著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担する行為
 ギャンブルなどにつぎ込む行為は典型例。株式なども問題になりえる。
 
□ 破産手続上の説明義務違反、その他の違反
 破産手続制度の根幹にかかわるため、最も免責が許可されにくい類型と思われる。
 
□ 過去7年以内に免責許可を受けていた場合
 
 
 もっとも、次のとおり、免責を得ても支払を免れられない非免責債権というものがあります。(破産法253条、
(また、財団債権にあたる債権は、免責の対象となる「破産債権」ではないので、免責されません。)
□ 公課公租
□ 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
□ 故意または重大な過失により加えた人の生命身体に対する不法行為に基づく損害賠償請求権
□ 家族関係(婚費、扶養、扶助義務など)における請求権 
□ 雇用関係に基づく預かり金
□ 破産者が存在を知っていながら債権者一覧表に記載しなかった債権
□ 罰金等の請求権
 
 したがって、非免責債権のみが破産原因の場合、破産しても債務を免れられないため意味がないということになります。