小話3 破産手続と消滅時効

<設問>
貸金業を営むAは、Bに対して、平成18年4月1日が弁済期である100万円の貸金債権を有していたが、
Bが弁済をしないまま5年近くが経過した。
Aは、平成23年1月20日、Bに対して「100万円(及び遅延損害金)を返済するように」と請求した。
 
問1 Bは、Aからの請求を受け、他にも借金があったことから、平成23年3月1日に破産申立てをし、同時に提出した債権者一覧表にAの貸金債権100万円を載せた。Bについては、平成23年3月15日に、破産手続開始決定がされたものの、重大な免責不許可事由があり、平成23年6月15日、免責は許可されず、そのまま確定した。Aは、Bが免責されたものと思いそのままにしていたが、免責が不許可であり、かつBがその後財をなしたことを知ったので、平成28年5月1日、Bに対して貸金請求訴訟を提起した。BはAに対して貸金債権の消滅時効を主張できるか。
 
問2 Bは、Aからの請求を受け、他にも借金があったことから、平成23年3月1日に破産申立てをし、同時に提出した債権者一覧表にはわざとAの貸金債権100万円を載せなかった。貸金債権の存在が看過されたまま、Bについては、平成23年3月15日に、破産手続開始決定がされ、平成23年6月15日、免責は許可され、そのまま確定した。Aはたまたま、Bの破産・免責とBの作成した債権者一覧表にAが載っていなかったことを知り、平成23年8月15日、Bに対して貸金請求訴訟を提起した。BはAに対して貸金債権の消滅時効を主張できるか。
 
問3 Bの債権者Cは、Bから弁済を受けられずにいたため破産手続による配当を受けようと考え、平成23年3月1日にBの破産申立てをしたところ、Bについては、平成23年3月15日、破産開始決定が出され、Aに開始決定と債権届出の書類が送られてきたので、Aは平成23年3月25日債権届出を裁判所に行った(到達は平成23年3月27日)。ところで、Bは破産開始決定について破産原因がないとして即時抗告を出していたところ、高裁は平成23年7月25日にBの主張を認め、開始決定を取消し、その判断はそのまま確定した。それを知ったAは、平成23年8月15日、Bに対して貸金請求訴訟を提起した。BはAに対して貸金債権の消滅時効を主張できるか。 
 
問4 問3の事例で、平成23年3月15日(Aへの到達は翌16日)、BがAに対して債権の存在を承認する意思を書面で伝えていたとすると、その意思表示はどのように取り扱われるか。