備忘メモ。虞犯の時的同一性

 まず並存する虞犯事実をどこまで1個とするか(“横断的同一性(事実的同一性)”の問題)については、
一定の時期には1個の虞犯のみが成立するので時期により特定されると解されている。
 
 さらに、継続する虞犯事実をどの時点で区切るか(“縦断的同一性(時的同一性)”)については、
3つの見解がある。
 1:事件送致(受理)時
 2:事件終局時(終局決定言い渡し時)
 3:原則2説だが試験観察の場合その決定時にも画される。
 
○各説の理由
 省略
 2説(廣瀬。50選120頁)
 
○議論する際に通常、念頭に置かれている具体的な場面
 虞犯(①虞犯)送致あり→観護措置→観護措置期間ぎりぎりで審判し、試験観察決定→具体的な犯罪までは立証できていないが、再度非行に及んでいる疑いが高かったり、及ぶ危険が高度になっている場合(②虞犯)
 もし、①虞犯と②虞犯が同一というなら、②虞犯で観護措置を取れないのではないか?とすると、少年の保護が達せられないのではないかという疑問点。
 
○通常想定されていない場面
 虞犯送致あり→虞犯事由・虞犯性はあったが観護措置不要として返す→在宅調査の経過により虞犯性の減退消失
 いかなる終局判断を下すべきか?
 
○疑問:常習一罪での議論が、ぐ犯の場合に用いられるか?
 常習窃盗は一罪だが、確定判決前に新たに行った窃盗行為については、
実体的な複数個性、「常習」認定に関する捜査必要、
捜査不能で身柄拘束規定の趣旨の免脱にならない、ことなどを理由として、
別途逮捕勾留することが許されると解されている。
 では、この見解を敷衍して、試験観察中の行状に関してそれ自体として虞犯としての内実を有する限り、
事件送致時の虞犯とは別個に取り扱って観護措置をとれる、ただし終局審判では1個の虞犯として処理する
ともっていくことができるのか?