おまけ1・破産管財人の権限と義務

前置き
 破産管財人は破産手続開始と同時に裁判所によって選任されます(破産法31条1項柱書、74条1項)。
複数選任されても単独で職務遂行可能。ただ現実には破産管財人代理人を選任して職務を担わせるのが通例です。
破産管財人に資格要件は法律上ありませんが法的な専門知識が必要で公正中立性が要求されることから専ら弁護士が選任されています。
(そのため、司法書士が職域拡大を狙って弁護士よりは安価な管財費用で破産管財人をやるとして、運動しているとかいないとか)

 破産管財人の法的地位に関しては様々な考え方があります。これは破産管財人に与えられている権限と義務を矛盾なく説明するとともに、諸問題における破産管財人の指導理念となるべきものです。
諸説あり、1私法上の職務説、2公法上の職務説、3破産債権者代理説、4破産者代理説、5破産財団代表説、6破産団体代表説、7受託者説、8管理機構人格説などがあります。
8説(破産管財人そのものに法人格を認め、破産管財人は破産財団の管理機構として国家から委託された職務を執行するとする説)が有力だそうです。
公の性質をもつ職務である点と更生管財人と破産管財人を統一的に説明できる点で優れているからだそうです。
 また、破産管財人の実体法的地位は基本的には破産者と同視し、一般承継人として把握されます。
しかし、他方、破産手続は総債権者のための包括執行という性格もあり、
破産管財人民法177条(不動産物権変動)や467条2項(債権譲渡)、94条2項(通謀虚偽表示)の第三者に当たると解されています(【破産管財人の第三者性】)。
 詐欺、解除は議論がありえるが第三者性を肯定する立場が有力のようです。

 破産管財人は、破産財団に属する財産を管理し、これを換価して配当の基礎を作るとともに
配当を受領すべき債権者の範囲及びその債権額を確定したうえ、配当に関する業務を行います。