法律知識と弁護士としての能力にどこまで相関があるのか

http://www.aiben.jp/page/library/kaihou/1609keijibengo.html

愛知県弁護士会のHPでは、会員(弁護士)の方が事件の感想等に書かれているようで、
上記もその一つです。

その事案は、外国人少年の不法残留および無免許運転の事案で、
勾留延長に対する準抗告を行い、その期間を10日間→3日間へ変えさせたり、
家庭裁判所に観護措置をとらせず、一時帰宅とさせた上、
最終処分結果についても不処分を勝ち取ったというエピソードでした。

あるいは事案の性質という面もあると思いますが、それを裁判所にきちんと伝達し、
身柄拘束や終局判断について少年にとって望ましい結果を獲得できたのは、
この弁護士の方の力量によるところなのだろうと拝見いたしました。

ただ、文の最後のところで、ひとつ気になる点がありました。

>それにしても、勾留期間満了後、検察官が少年を家裁に送致したのは、
>警察に対する顔立ての配慮があったのではないかと思えてならない。
>最近の警察と検察の力関係を垣間見ることのできた事件であった。

いかにも捜査機関憎しという表現ですが、浅学によれば、
残念ながら、これは全く下種の勘ぐりでしかないと思います。
というのも、少年事件では嫌疑がある以上、全事件を家庭裁判所に送致しなくてはならないという
「全件送致主義」が採用されており、検察官が勝手に送致を止めることなどできないからです。

少年法を少しでもかじった人であれば誰でも知っているような
基本的な事項ですが、ご本人もご存じなく(あるいは失念され)
また、誰も指摘されないのかそのまま掲載されていました。

とはいえ、法律家であっても、あまねく法の中に知らないこともあるだろうと思いましたし、
また、法律的な知識と、法的な活動力とは、必ずしも相関しないのだろうとも思いました。

昨今、司法試験が新制度になって、法的知識に乏しい人が法曹になる、などという批判もありましたが、
「優秀」な法曹というのは、単純な法的知識に還元されるものではないでしょうし、
その意味では、多くの法曹が競争して「優秀」な人が残るというのも、あり方の一つなのかもしれない
と考えました。