同性婚と婚姻関係に対する給付行政

日本では婚姻関係については、単に両者の法的関係を定めるとか、第三者との関係で取引の安全を図るとかの制度・ルールが定められているだけでなく、例えば、収入次第だが配偶者は年金を払わなくていいとか社会保険も対象に入るとか、配偶者控除があって税金が減るとか、相続の際に配偶者の相続税が軽減されるとか、いろいろな恩恵がある。

他方で時代の進展とともに、従前は婚姻関係が想定されなかった同性婚といったものが話題になっている。成人同士が属性にとらわれず自由に特別な関係を持てるという段階が来たとしたとき、婚姻制度のような、パッケージで両者の関係を拘束するものに、どれだけの需要があるのだろうかと思う。もちろん、特別な関係を法的に承認する場合には、第三者に対するルール・関係を定めることは動的保護を図るため必要だと思われるので、その意味で”婚姻”制度がなくならないとは思える。

しかし、そこに付随する経済的な恩恵は、人間を個々の主体として扱う現代的な発想の中で、2人をパッケージすることによるという制約・拘束と引き換えにする意義がどれだけあるのかと思われる。家族単位での政策・保護の合理性が、今後、徐々に厳しく問われていくようになるのではないか。