保釈要件の見直し論ようやく言及

>保釈中も新たな特殊詐欺に加担 「かけ子の先生」仰天の再犯動機
>4/5(日) 15:30配信 産経新聞
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> 高齢者から多額の現金をだまし取る特殊詐欺グループのメンバーとして逮捕・起訴されていた男が今年2月、保釈中に新たな特殊詐欺に加担したとして、詐欺容疑で大阪府警に逮捕された。男は自身の罪を軽くするため、被害弁済に充てる金を集めようと再び特殊詐欺に手を出したとみられる。

>(中略)

> ある捜査関係者は「これだけ悪質なのに、なぜ保釈したのか。逮捕したことで被害も止まっていたのに、保釈によって確実に防げたはずの被害が発生してしまった」と憤る。

 捜査関係者のこのコメントは次に書かれていた学者のコメントで一蹴されるような素朴な感想に過ぎない。

> 常磐大の諸沢英道元学長(刑事法)によると、刑事訴訟法では保釈請求があれば、証拠隠滅や逃亡の可能性がある場合を除いて原則認めなければならず、「再犯の可能性」は保釈を判断する要件に入っていない。諸沢元学長は「特殊詐欺事件のように社会的弱者を狙う悪質な犯罪は社会に与える影響も大きい。新たな被害者を生まないという社会防衛の視点から保釈制度や要件について見直す必要がある」と指摘している。

 とはいえ、そのような素朴な感想は、新たな立法の必要性につながる可能性はあるだろう。諸外国には身柄拘束を認める理由に、再犯の可能性を設定するところもあるわけで、日本では、身柄解放一辺倒の議論に対して、合理的な政策判断として身柄拘束を増やす方向の感想が一新聞記事としてでも出ていたのは多少の変化を感じさせるところであろうと思われる。

 裁判所には引き続き現状の法制度下における保釈の緩和化を進めることで、現状の保釈制度の問題点をあぶりだし、(まともな)立法府がそれを踏まえて早期に適切に改正に踏み切れるよう頑張ってもらいたいものだ。