差押えとマイナンバー

金銭回収(執行)手続のうち
預貯金の差押えでは、通常の銀行であれば支店ごとに特定して
(ネット銀行などは単に銀行を債務者とするだけで足りる)
差し押さえをしなければならないのが判例である。

平成23年9月20日最高裁判所第三小法廷決定 民集 第65巻6号2710頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81634
【判示事項】
1 債権差押命令の申立てにおける差押債権の特定の有無の判断基準
2 大規模な金融機関の全ての店舗又は貯金事務センターを対象として順位付けをする方式による預貯金債権の差押命令の申立ての適否
【裁判要旨】
1 債権差押命令の申立てにおける差押債権の特定は,債権差押命令の送達を受けた第三債務者において,直ちにとはいえないまでも,差押えの効力が上記送達の時点で生ずることにそぐわない事態とならない程度に速やかに,かつ,確実に,差し押さえられた債権を識別することができるものであることを要する。
2 大規模な金融機関の全ての店舗又は貯金事務センターを対象として順位付けをする方式による預貯金債権の差押命令の申立ては,差押債権の特定を欠き不適法である。

ところで、このほど、全国民に対してマイナンバーという徴税に関するナンバーが割り振られる。
>政府は『'18年度以降、銀行口座とマイナンバーの紐づけを順次進める』としている
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151020-00045885-gendaibiz-bus_all
そうなので、これまでの支店ごとに住所や氏名により同一人の口座かどうかを確認していたのが
マイナンバーを通して、政府にとっては容易に同一性を把握できるようになるようだ。
政府にできるのだから、直接の管理者である金融機関にできないはずがないだろうと思われる。

そうすると、これまでは金融機関における負担が大きいという理由で認められなかった回収手段が
新しい制度の導入により「名寄せ」が容易になることによって可能になるかもしれないと
ふと思った。