少年法択一問題・解答

<決定等>
問 第一群で説明されている裁判所の決定と第二群で記載された文が適合しているものの組み合わせとして正しいものを選べ。

(第一群)
ア 家庭裁判所が調査や審判をするために、少年を施設に収容することにより、少年の身柄を確保するとともに、少年の行動を観察しながら心身の鑑別をする措置の決定
イ 少年を特別の教育施設に収容して、少年が健全なものの考え方や規則正しい生活習慣を身につけることができるように指導する処分の決定
ウ 児童福祉施設に少年を送って教育や養護を行う処分の決定
エ 事実に争いがなく、かつ事案が軽微であり、調査の過程における家庭裁判所調査官からの教育的な指導などにより十分な手当てがされているなどの理由から、審判を開いて指導を行う必要がないと判断され場合の決定
オ 家庭裁判所が、相当期間、少年を家庭裁判所の調査官の観察に付し、併せて、遵守事項を定めてその履行を命じたりするなどの処分の決定。

(第二群)
A 決定は、相当な方法により少年に告知すれば足りる。
B 決定の際には、4種類の施設の中から1種類を選んでおく必要がある。
C 少年の非行性や更生可能性を見定めるため、場合によっては、適当な施設や個人などに少年の補導を委託(補導委託)する。
D 比較的低年齢の少年を対象とする。 
E 原則として更新は1回まで。

1 アA-ウB 2 アE-オE 3 イB-エC 4 イD-オC 5 ウD-エA
_________________________________
http://blogs.yahoo.co.jp/nekonomanma/60290366.html

<許可>
 解答 4

1 保護者が付添人になること
 →許可を要する(法10条2項)
 法10条1項本文によれば、「少年及び保護者は、家庭裁判所の許可を受けて、付添人を選任することができる」とされるが、その例外として、ただし書において「弁護士を付添人に選任するには、家庭裁判所の許可を要しない」として、弁護士を付添人に選任することは当然に認められている。本問については、同条2項で、「保護者は、家庭裁判所の許可を受けて、付添人となることができる」とされ、保護者自身が付添人になることはできるものの、許可にかからしめている。これは付添人には、記録の閲覧権など、法律上特別な権限が付与されていることによると理解されている。

2 審判開始決定前における付添人による法律記録の閲覧
 →許可を要する(規則7条1項)
7条1項は、「保護事件の記録又は証拠物は、法第五条の二第一項の規定による場合又は当該記録若しくは証拠物を保管する裁判所の許可を受けた場合を除いては、閲覧又は謄写することができない。」として原則として閲覧謄写を許可にかからしめている。付添人の閲覧については、審判開始決定後であれば、当然に許されるものとする例外が定められている。(「付添人(法第六条の三の規定により選任された者を除く。以下同じ。)は、前項の規定にかかわらず、審判開始の決定があつた後は、保護事件の記録又は証拠物を閲覧することができる。」)
 したがって、審判開始の決定前は、付添人と言えども当然には閲覧することができない(もっとも、裁判所が(とりわけ弁護士である)付添人に対して、閲覧を許可しないというのは想定し難い事態であるが)。

3 審判の席への、保護者あるいは付添人でない少年の親族の在席
 →許可を要する(規則29条)
 在席の許可という表題で「裁判長は、審判の席に、少年の親族、教員その他相当と認める者の在席を許すことができる」(規則29条)とされているとおりである。

4 検察官関与決定のあった事件で、審判の席における検察官の少年への質問
 →許可までは要しない(規則30条の8第2項)。
 規則30条の8第2項は、検察官の発問権につき、「検察官は、検察官関与決定があつた事件において、その非行事実の認定に資するため必要な限度で、審判の席において、裁判長に告げて、少年に発問することができる」として、付添人の少年に対する発問権と同一の規制にかからしめている。

5 審判の席における付添人による意見陳述
 →許可を要する(規則30条)
 意見の陳述という表題で、「少年、保護者、付添人、家庭裁判所調査官、保護観察官、保護司、法務技官及び法務教官は、審判の席において、裁判長の許可を得て、意見を述べることができる」とされているとおりである。

 以上のとおり、非公開で、かつ、職権主義的傾向の強い少年審判においては、刑事事件に比べ、様々な行為が裁判所(裁判長)の許可等に委ねられていることが多い。もっとも、合理的な裁量の範囲を逸脱するような不許可が是認されないのはいうまでもない。