裁判と誤判と謝罪

えん罪ということが起きた場合の関係機関の対応はどうあるべきかという論点があります。
組織としての謝罪をすべきだという議論もあります。
ただ、私としては、裁判において裁判所が謝罪をするというのは
基本的には弊害の方が大きいと思っています。

もちろん、枉法徇私に類するものは別論ですし、
また、訴訟制度上の限界を踏まえてより真実に近づくための研鑽は、個々人の心掛けでしょうが、
それらをさていて、
制度論からは、裁判官が職責を全うして判断したものについて謝罪すべきということはないと思います。
それが裁判制度の本質であり限界だからです。
また、組織論的には、司法行政に関するものであればともかく、本件のような裁判事項そのものについて、裁判所の誰かが裁判外で各裁判体を代表して謝罪するというのは、個々の裁判体の独立性を
侵害するように思えます。

例えば、地裁の判断が間違っていたから最高裁の偉い人が謝罪をする、というのは、やり方次第では、いくらでも「圧力」にできるように思えるからです。
最後に、個々の裁判官ですが、これはその本人がどうお考えになるか次第ですが、例えば「遺憾の意」を公言する人が出てもそれは上記とは矛盾しないのだろうと思います。もちろん、仮に、それが合議の秘密に抵触するような発言の仕方であれば、妥当かどうかは難しいところかとは思いますが。