裁判所データブック2008をみて

前に「法曹におけるジェンダー」という記事を書いたが、
http://blogs.yahoo.co.jp/nekonomanma/58085164.html
資料が手に入ったので、19年分を追完しようと思う。

職員採用1・2種、3種|修習採用→裁判官、検察官、弁護士、その他。(法曹進路)
平成19年53.8%,61.7%|23.4%→36.4%,34.5%,22.3%,28.4%

男女比は、以前みた傾向通り、女性の公務員率が高い。
その理由になるものとして、待遇、将来プラン、職務内容、職場環境などを考えては見るが、
実際にはそのいずれが作用しているのかはよく分からない。引き続き検討してみたい。

さて、本データを追完するのに、『裁判所データブック2008』を用いたが、
その際、別に気になる数字が目に留まった。
それは、法曹進路の中のその他である。

ここ5年の数字を見ると、
7(56期)→9(57期)→13(58期)→52(59期)→102(60期)
とここ最近、急激に増加している。
これはいわゆるひとつの、法曹過剰論のひとつの傍証となりうるように思えた。

これに対しては、司法修習終了者の人数が増加しており
そのせいで単純に増加したのだという主張もありえそうである。

そこで、全終了者に占める割合を出してみると
0.7%(56期)→0.8%(57期)→1.1%(58期)→3.5%(59期)→4.3%(60期)
と割合的にも増加してきている。

したがって、せっかく法曹資格をとったのに、法曹にならない人が増えてきているのは事実といえる。
もちろん、就職難と直ちに結び付けられるわけではないが、
他の職種に興味があったという層がいて逃げたのだとしても
法曹という職種の魅力が減ったということを意味しており、
いずれにせよ、この傾向が強まるようなことがあれば由々しき事態であるように思える。

ただし、少し昔にさかのぼっただけでも、3.0%(44期)、1.6%(47期)、1.5%(51期)、1.6%(54期)などのように、それなりの割合でその他の進路を選んだ期もある。
とすれば、直近の傾向が、今後も続くか一過性で終わるかをよく見極めるべきであって、
すぐに何らかの証拠として用いるのは早計であるようにも思われる。

したがって、この点は、ひとまず、今後の継続的な注目事項としておきたい。