岐路に差し掛かる法曹養成制度

>司法試験 合格者1583人 合格率22・95% 7法科大学院がゼロ
産経新聞 9月7日(水)7時55分配信
> 法務省は6日、平成28年司法試験に前年より267人少ない1583人が合格したと発表した。
>合格率は0・13ポイント低下し22・95%。昨年の試験問題漏洩(ろうえい)事件の再発防止策として、
>考査委員から現役の法科大学院教授が外された。
> 受験者数は昨年より1117人少ない6899人。合格者は男性1212人、女性371人。
>平均年齢は28・3歳で最年長は66歳、最年少は21歳だった。法科大学院を修了しないで
>受験資格を得る予備試験通過者で合格したのは235人で合格率は61・52%。
> 法科大学院の合格率の上位校は、(1)一橋大49・61%(合格者63人)(2)東大48・07%(137人)
>(3)京大47・30%(105人)(4)慶応大44・29%(155人)(5)早稲田大35・85%(152人)。
>合格者がゼロの法科大学院も7校あった。
> 合格者数が昨年より1割以上も減ったことで、志願者減が続く法科大学院のあり方にも
>影響が出る可能性がある。
> ただ、文部科学省の資料によると、大学で法律を学んだ法学既修者の修了3年目までの
>「累積合格率」は約67%に達しており、2割台の合格率に関しては「必ずしも低いとはいえない」
>(法曹関係者)という意見もある。

司法試験の合格者数が旧試験時代(最大値頃)の合格者数と似たような数字になった。
しかも、予備試験という法科大学院をバイパスするルートの合格率が最高という状況。
合格者数の減少にはいろいろな捉え方があるだろうが、
一つにはそもそもの法科大学院の受験者数及び入学者数が大幅に減少していて
あまり大きな数字を維持すると、法科大学院に入れば全員資格が取れるような状態になりかねない
ということがあるように思われる。
新人弁護士の苦境も巷間に上るようになり、若い人にとって法曹資格が魅力的でなくなっている
現状があるのだろう。
それらに応じて、合格者=司法修習生の質も全般として低下傾向にあるようにも思われる。

多額の費用をかけて2年間以上拘束し、進路を狭めさせる制度に合理性があるのかとは
法科大学院導入当初より言われていたことであるが、その当初の疑問が現実のものとして
いよいよ立ち上がりつつあるように思われる。

まあ、今さら弁護士資格を魅力あるものにすることは市場原理からして無理だろうから
どのように制度をいじろうが、法曹養成の結果は昔と今とでは違うということになるだろう。
ただ、その変化は悪いのかどうか、まさにあり方が変わっただけであって、
懐古主義はその変化に乗り遅れているだけかもしれない。