R.P.G(宮部みゆき)平成13年

この作者の作品を読むのは2作目だが
やはり読みやすい。

今回の作品は、最初の出来事(中核的な部分の前提となる部分)は時間的空間的な広さがあるが
中核的な部分は一つの建物(二つの部屋といった方が正確か)で半日足らずの間に起きた出来事を見せるというものだった。
そのコンパクトな中で、飽きさせずに読み進めさせる物語、登場人物たちの描写力にはただただ惹き付けられた。
くどいこともなく最後まで楽しく読めた。

作品の性質上詳細に書くのは控えたいが、核心部分に関しては、早いところで携帯のメールの点があったことなどから、一応予想をし得た感はあった。
そうだからといって確信できたわけでもないので楽しく読み進めることの支障にはならなかった。
また舞台設定については後で書かれてみればなるほどと思わせるものだけれどもこちらは迂闊にも全然意識していなかった。

「天分というしかないであろう」と解説の末尾にあるとおりの、凡人とはおよそ別次元にある作者の力量に、しっかり浸れる作品であったように思う。