従軍慰安婦問題掲載記者による名誉棄損訴訟

週刊文春のきじによって名誉を棄損されたとして元朝日新聞記者が訴えたという出来事があった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150110-00000006-asahi-soci

表現の自由に関する名誉毀損の場合、大きく分けて2つの類型があると思う。

一つは、事実の存否という場面で、違法性を阻却されるためには仝?性、公益性、真実性が要件となる。
もう一つは、意見・論評という場面で、仝?性、公益性、A按鷸?造凌深太、ど集修箸靴討糧鶲鐫性が要件となる。

従軍慰安婦の問題はさておき
週刊文春の記事自体と元の朝日新聞の記事自体を見ておかないと
どちらの場面であって、名誉毀損の成否はいかん、ということが分からないわけだが、
ネットのとりあえずの記事ではそこらへんがやや判然としないが、争点は次のところのようだ。

>西岡氏は雑誌などで、
>(1)「女子挺身(ていしん)隊の名で連行された」と書いているが、その事実はなく、経歴を勝手に作った
>(2)元慰安婦がキーセン(妓生)の育成学校にいた経歴が書かれておらず、身売りされて慰安婦になった事実に触れずに、強制連行があったかのように書いた
>(3)植村氏の義母は、元慰安婦らが日本政府を訴えた裁判の韓国の支援団体幹部で、結果的に裁判が有利になる捏造記事を書いた、
>などと指摘した。
ということで、基本的には意見・論評枠組の方が近そうだ。

これらについては

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150111-00002545-bengocom-soci
朝日新聞は昨年8月、慰安婦報道の検証記事を出した。
>植村氏の記事について「事実の捻じ曲げはない」としながらも、
>「女子挺身隊=慰安婦」という表現が誤っていたと認定していた。

http://www.asahi.com/shimbun/3rd/2014122337.html
>『主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した』という表現は誤りでした。

という点からすると(1)(2)については事実を前提に意見・論評を上げており、前提となる主要な事実部分については誤りがないよう見えるので、違法性が認められないような気がする。
(3)については事実の存否を書いたとも、「結果的に、捏造記事を書いた」というのが意見・論評であるとも解釈できると思えるが、後者と見てもおかしくはないと思う。
そうすると、週刊文春の筆者は、表現は穏当かどうかはさておき、争いのない事実を前提に、故意に等しい誤りだと糾弾したというのに過ぎないから、これも違法性は認められないような気がする。
表現として意見・論評から逸脱しているかどうかについては、正確な記事が分からないのでまあ何ともいえないのだけれど。

ということで、原告側が苦しい訴訟ではないかなと勝手に分析した。
なお、原告側は、家族までバッシングされていると訴えているようだけど、それは筆者のせいではなくて、家族まで巻き込んでバッシングしようとする人の問題であって、週刊文春の作者にいうのは、たぶん、筋違いなのだろうなと思った。