下級裁判所の裁判官の再任拒否に関して

裁判官の再任拒否といえば、昔は宮本判事補事件があり、
最近でも井上薫判事事件がありました。
 
過去は最高裁判所が内々に再任の適否を決めていた訳ですが、
現在では、指名過程の透明性を高め,国民の意見を反映させるため,
国民的視野に立って多角的見地から意見を述べる機関として,
下級裁判所裁判官指名諮問委員会が設置され、
その意見を参考に最高裁判所は再任の認否を出しています。
 
ここ3年程の再任状況について議事要旨からまとめてみました。
(出向から復帰の期間が短いが、判事になるので諮問された人が抜けている箇所があります)
(取り下げ、死去などの点も抜けている箇所があると思います。)
(候補○人の後の括弧内の数字は適当でないとされた人の数です)
H23.7.8
 平成23年下半期 判事候補97人(2人)
 平成23年10月期 弁護士任官候補2人(2人)
 平成23年7・8月 出向復帰候補2人(0人)
H23.2.23
 平成23年4・7月 出向復帰候補13人(0人)
H22.12.21
 平成23年1月 新任判事補候補100人(2人)
 平成23年1月 出向復帰候補1人(0人)
H22.12.3
 平成23年上半期 判事候補116人(2人、留保1人)*留保→後に候補者が願いを撤回
  117人から1人再任願い取り下げ
 平成23年4月期 弁護士任官候補8人(3人)
H22.9.8
 平成22年9月 新任判事補候補4人(0人)
H22.7.2
 平成22年下半期 判事候補75人(0人)
 平成22年10月 弁護士任官候補1人(1人)
 *後に候補者が任官願い取り下げ
 元裁判官から裁判官への任官候補2人(0人)
 平成22年7月 出向復帰1人(0人)
H22.2.23
 平成22年4月 出向復帰8人(0人)
 平成22年4月 検事からの出向候補1人(0人)
H21.12.18
 平成22年1月 新任判事補候補100人(1人)
H21.12.1
 平成22年上半期 判事候補189人(3人)
  *190人のうち1人取り下げ
 平成22年4月期 弁護士任官候補3人(2人)
H21.9.8
 平成21年9月 新任判事補候補7人(0人)
H21.7.3
 平成21年7月 出向復帰候補1人(0人)
H21.2.20
 平成21年4月 出向復帰候補10人(0人)
 *出向短期間だが判事候補6人(0人)
H20.12.19
 平成21年4月期 弁護士任官候補(留保)1人(1人)
 平成21年1月 新任判事補候補78人(3人)
  *79人のうち1人取り下げ
 平成21年1月 修習終了後3年未満の判事補候補1人(0人)
 平成21年1月 出向復帰候補2人(0人)
H20.12.5
 平成21年上半期 判事候補166人(4人)
  判事候補168人のうち2人が願い撤回
 平成21年4月期 弁護士任官候補8人(1人、留保1人)*留保→後の判断で不適当(上記記載済み)
H20.9.5
 平成20年9月 新任判事補候補25人(1人)
  26人のうち1人が取り下げ
 平成20年9月 出向復帰候補1人(0人)
 
上記をみると、弁護士任官希望者は、かなり適当でないとされる割合が高いです。
新任判事補としての任官希望では、適当でないというのは0ではないという感じですが。
再任願いについては、0人から数%まで幅があるようです。
再任拒否は多くはないが極めて例外とまでいえるか微妙な感じです。
一説には昔は再任拒否などと最高裁が叩かれかねなくて拒否できなかったものが、
外部を含めた委員会からの意見ということで拒否しやすくなったという見方もあるようです。
 
ただ、どのような候補が適当で、どのような候補が適当でないのかは、
議事録の要旨を見ただけではよく分かりません。
政治的な問題があるのか、あるいは単純に能力の問題なのか、よく分かりませんが、
とりあえず再任してもらうためには、下から数えて数人に入らないように努力することが必要なのかもしれません。