債権者集会、破産手続の終了

 管財事件では、破産者は、債権者集会に一度以上出席することになります(免責不許可事由の中には、手続における裁判所の調査に対する説明を拒否し、虚偽の説明をすることが入っており(破産法252条1項8号)、債権者集会の理由なき欠席はこれに該当すると解されるようです。)。
(また、最近は、事務の簡略化のため、債権者集会の省略を模索している地域もあるようですが。)
 
 債権者集会の種類は、様々で、
・財産状況報告集会(破産法31条1項2号)
 破産管財人は、裁判所及び破産債権者に対し、破産手続開始に至った事情、破産者及び破産財団に関する経過及び現状、役員の財産に対する保全処分、又は役員責任査定決定を必要とする事情の有無、その他破産手続に関し必要な事項を報告しなければなりません。(破産法177条1項、158条、157条1項各号)
・計算報告のための集会
 破産管財人の任務が終了した場合に、破産管財人の計算報告をするための債権者集会があります(破産法88条3項)
・財団不足による廃止の意見を聴くための債権者集会
 破産財団をもって一般の破産債権者に対する配当が行えない場合(条文上は、破産手続の費用を支弁するのに不足すると認められるとき)は、破産債権者の意見を聴いた上で、破産手続を廃止することになります(【 異時廃止 】、なお、財団債権の一部には弁済できる場合、異時廃止とすべきか終結とすべきかには争いがありますが、前者の扱いが通常です)が、その決定をするにあたり、破産債権者の意見を聴くための債権者集会となります。
・一定の決議をするための債権者集会
などがあります。
 
 また、債権者集会に合わせて、債権調査期日や免責審尋期日などが指定されていることもあります。
 
 管財事件の終了事由は主に2つです。
 一つは、破産債権者まで配当できない場合、破産債権者の意思による廃止合意があった場合などのように、手続が廃止となる場合です。
 もう一つは、破産債権者への配当がおこなわれ、破産手続の本来的な目的が果たされた場合には、終結と呼ばれます。(この際、破産者、破産債権者らは異議を出すことができ、破産管財人がその事項につき免責されないことになります。異議によって終結できなくなるわけではありません)
 他には、他に優先する手続(民事再生手続、会社更生手続)が開始された場合、債権者申立てなどでありえることですが開始決定に対して即時抗告が出されて開始の判断がひっくり返った場合などがあります。
 
 他方、同時廃止事件の場合、換価すべき財産がない(あるいは、多少の財産はあっても自由財産の拡張の範囲にとどまるなどあえて管財事件とする必要がない)との判断が破産開始決定時に行われるため、開始決定と同時に、破産手続の廃止が決定されます。
 したがって、基本的には同時廃止事件の方が管財事件よりも早く手続が終息しますし、破産手続開始に伴う制限等を実質的に受けないで済むメリットもあります。あえて、デメリットを指摘すれば、免責不許可事由がある場合に、裁量免責を受けやすくするための、誠実性(破産管財人への協力姿勢、財団組み入れなど)、経済的更生の進展(家計簿作成等による家計管理力の向上)のアピールが行えないなど、免責に関する部分で限定的ですが影響し得るということでしょうか。
 
 破産手続終了の効果としては、次のようなものがあります。
□ 破産者に対する各種制限の解除
 居住の制限、財産の管理処分権の制限など
□ 破産債権者による権利行使
 ただし、免責手続の決定がでるまでは強制執行できない、免責許可がでれば破産者の責任は免除される
□ 時効の進行
□ 法人の場合、法人格の消滅(ただし、財産があればその範囲で法人は存続し、清算手続となる)
□ 中断された訴訟を破産者がひきつぐ