Section Ⅱ:juvenile court jurisdiction

第二章 少年裁判所の管轄
 この章では、少年裁判所の事件を聴聞する(hear)権限に関する(refer to)、少年裁判所の「管轄」について簡潔に見る。
 
第四節 少年裁判所は少年が罪を犯して責任を問われる事案(cases)に限って管轄を有しているのか?
いいえ。未成年者(minors)によって行われた犯罪を含む(involved)事件(しばしば少年非行事件("juvenile delinquency" cases)と呼ばれる)についての管轄を有するのに加えて、大半の州の少年裁判所は以下の管轄も有している。
・申立てによると、彼らの親や保護者によって虐待されていたり養育放棄されていたりした未成年者を含む事件(Cases involving minors)
これらはしばしば少年従属事件("juvenile dependency" cases)と呼ばれる。虐待や養育放棄を受けた未成年者は、親の家庭から取り除いたり、親族や養親へ置くことが許される(may)。
少なくとも、親はしばしば、親権を維持したり、回復させる状態としてカウンセリングを受けることを命じられる。
少年裁判所は、親が恒久的に不適応であると宣言し、未成年者の養子縁組を認めることもできる。
・違反状態(status offenses)にある(commit)未成年者を含む事件(Cases involving minors)
違反状態とは、少年のみが行える種類の違反である。
例えば、16歳未満の全ての子供は学校に通わなければならないと法律(law)が要求している場合、14歳の少年が明確な理由なく学校を欠席する(つまり、無断欠席(truant))と違反状態である(commit status offenses)。
成年者はこの法律(law)に違反することはできない。

(以上、仮訳。予告なく変更することがあります)
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 日本で家庭裁判所少年部が扱う少年は、基本的に未成年を扱う。ただ、少年院の収容継続事件のように成人を扱う場合も例外的にある。
 事件としては、通常、非行少年(犯罪少年、触法少年、ぐ犯少年)を扱う。
 日本では不登校自体が犯罪になる法制ではないので、不登校や家出のみでは家庭裁判所に事件として来ることはない。基本的には、実際の犯罪にあたる行為を行ったり、それらを犯すおそれがある場合に限られるのである。
 また、家庭裁判所は、これに加えて、収容継続、強制的措置許可事件など、非行そのものではなく、処分等を受けている少年の待遇を一定程度変更させる事件なども取り扱っている。

 ところで、日本で親の親権を剥奪するのは、少年部ではなく家事部である。
 民法834条に「父又は母が、親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その親権の喪失を宣告することができる」と規定され、手続に関しては、家事審判法9条甲類12号に「民法第八百三十四条 から第八百三十六条 までの規定による親権又は管理権の喪失の宣告及びその取消し」とされている。

 また、養子縁組に関しては、そもそも日本では養子縁組自体が子供の保護という観点ではなく、家業や伝統の存続、財産の承継等の実現などにかなりの目的がある(子供の福祉の面もあるが)ため、その点に関しては手続等も異なる。
 日本の未成年に関する養子縁組を簡単にみると、元の親との関係が残る普通養子縁組と、残らない特別養子縁組に分かれ、さらに、普通養子縁組でも15歳以上かどうかで特別な要件が付けくわえられる。
 普通養子縁組で、未成年者を養子とする場合、家庭裁判所の許可(or自己又は配偶者の直系卑属であること)が必要とされている(民法798条)。これは実質上の身売り等、不当な縁組を排除するための趣旨であろう。そして、15歳未満の場合には、養子となる者の法定代理人の許可も必要となる(民法797条)。ほかにも養親が20歳以上であること、養親が養子より年長であり、養子の卑属でないこと、配偶者がいる者は原則として配偶者と共に養親になることなどが要件になる。
 他方、特別養子縁組の場合、家庭裁判所がその成立を判断するが、養親(の少なくとも一方)が25歳以上であること、養子が6歳未満であること(6歳未満から既にその者に監護されているときは8歳未満まで)、養子の父母の同意を必要とする(ただし、虐待等がある場合は除く)こと、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合、子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとすることなどが要件となっている。

 いずれにせよ、親権はく奪にしろ、養子縁組にしろ、少年部が少年の福祉のために手続を遂行する制度とはなっておらず、親それ自体を法的に調整する方法もなく(保護観察所に調整を促す環境調整命令というものはあるが、法的変更を形成するものではない)、この点、アメリカとは相当に異なる。

(以上、仮解説・感想。予告なく変更することがあります。)