少年法択一問題・解答

<許可>
問 次のうち、裁判所(裁判長)の許可を要することなくできるものを選べ。
1 保護者が付添人になること
2 審判開始決定前における付添人による法律記録の閲覧
3 審判の席への、保護者あるいは付添人でない少年の親族の在席
4 検察官関与決定のあった事件で、審判の席における検察官の少年への質問
5 審判の席における付添人による意見陳述

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<抗告>
 解答:2

ア 検察官送致決定は、少年法20条に規定されており、家庭裁判所に送致された事件を検察官に送致する(=刑事処分が相当であるとする)という中間処分である。抗告については、「これを認める明文がないこと、中間決定で実体的な不利益が生じていないことから認められないとするのが通説、判例(東京高決昭45・8・4家月23・5・108)である。」(注釈少年法[第三版](以下「注釈」という)217頁、376頁参照)
 →抗告できない。

イ 収容継続決定とは、少年院法11条に定める少年院在院期間を通常より伸長させるための申請に対して、それを認めるという判断(決定)である。手続は、その性質に反しない限り、少年の保護事件の例によるとされている(規則55条)。抗告については、「消極説もあるが、収容を継続する決定に対しては認められている。実質的には前の保護処分決定時において予想されなかった身体拘束の継続を認めるものであり、争う機会を保障すべきだからである。本人が成人の場合、父母には抗告権がない(32条、規55条)。申請を却下する決定には不服申立てできない。」(注釈514頁)
 →抗告できる。

ウ 知事又は児童相談所長に対する強制的措置許可決定とは、少年法6条の7に規定されているとおり、児童福祉法の適用がある一定の少年に対して行動の自由を制限し、またはその自由を奪うような強制的措置を必要とする申請に対して、それを許可する家裁の決定をいう。抗告については、「申請に対する許可の性質をもった決定で抗告を認める保護処分の決定(32条)に当たらないので抗告は認められず(最決昭40・6・21刑集19・4・448)、特別抗告も認められない(最決平16・11・11家月58・2・182)ということで実務上解決されている。しかし抗告については、積極説も根強いうえ、立法論としては抗告を認める見解も多いことに留意すべきである。」(注釈197頁、376頁・106頁以下参照)
 →抗告できない。

エ 観護措置更新決定とは、観護措置が原則として2週間であって、特に継続の必要がある場合には原則として1回に限り更新できるとなっており、その更新のための決定である(17条3項本文、ただし書)。これに対する不服申立て手段は、17条の2に定められているとおり、異議の申し立てによって行うものであり、抗告によらない。「抗告とされなかったのは、観護措置の要否の判断は、法律的な観点からのみならず、少年の保護を図る後見的・福祉的な観点から行う必要があることから、そのような機能を担う専門機関である家庭裁判所が行うのが相当であること、少年事件においては早期処理・早期保護の要請が強く簡易迅速な不服申立制度とする要請が強いことによる。」(注釈183頁)
 →抗告できない。

オ 非行事実を認定した不処分決定。「不開始(19条1項)、不処分(23条2項)の各決定は、それが非行事実を認定したものであっても抗告の対象とならない(不処分につき、最決昭60・5・14刑集39・4・205、、最決平2・10・30家月43・4・80、最決平14・7・19家月54・12・77)」(注釈376頁)
 →抗告できない。

 以上からすると、2番のイだけ、というのが正解となる。

1 ア  2 イ  3 ウ  4 イエ  5 イオ  6 ウオ  7 エオ  8 イウオ  9 イエオ