底の浅さ、深さ

物の名称には意味がある。

覚せい剤のことをヒロポンと呼ぶ人が居る。
これは何故かというと、一時期合法的だった時代に、
ヒロポンという商品名で販売されていたためである。
ここまではわりかしと分かる。

では、なんでその商品名になったかというと、
これは、疲労がポンと飛ぶから、ヒロポンだという話があって、
私も昔は、これを信じていた。

ところが、実はこれは俗説で、実際には、
どっかの言語にヒロポンという言葉があり、
「労働を愛する」という意味だったというのだ。
その話を聞いて、自分の知識の浅さを思い知ったものだった。

次に、司法修習生には、その資格を明らかにするためのバッジが配布される。
そのこと自体、そもそも、一般的ではなくて、
ビギナーという修習生ドラマとかで、知っている人がいるのだろうなというところだが、
これが、紫、赤、白の三色からできていて、しかも、それが裁判官、検察官、弁護士をさすのだ
というのは、バッジをつけるご当人たちを除くとあまり知られていないように思う。
で、さらに、この色には由来があって、それは、明治期の法曹三者の法服の刺繍の色が、
それぞれ深紫、深緋、白だったためである
(ちなみに、裁判官・検察官は官吏なので、刺繍に桐花がある)。

そして、このうち2色は、(推測となるが)考案者が奈良朝好みのためか、
律令制における位当色を意識したものと言われ、修習生バッジは、深紫>深緋という序列を
(冠位十二階を意識すれば、紫>緋>白という可能性がある。
 養老律令によると、紫>緋>緑(書記官の首周りが緑だった)であり、白は表立った色として採用されていない。
 とすれば、官吏でない弁護士に、あえて白を配色した可能性もある)
意識してか無意識のうちにかはともかく、取り込む結果となっている。
で、そういう目で見ると、色の配置も、何となく紫がやや上で、赤が中くらい、白が下にある
というようにも見えてくる。

とはいえ、現在の法曹三者は、同じ釜の飯を食う、全くの平等であって、
むしろ収入だと弁護士>>裁判官・検察官、権限だと検察官>>裁判官>>弁護士という感じで、
どこが上で、どこが下ということもないようだ。