少年院帰りによる強盗殺人被疑事件

 
東京都豊島区のゲームセンターの事務所で同店経営の鈴木明さん(75)が殺害された強盗殺人事件で、警視庁は27日、同区南長崎、無職・平田智大(22)、三鷹市牟礼、同・田中勇気(21)の両容疑者を強盗殺人と建造物侵入の疑いで逮捕した。

 発表によると、2人は今月19日未明、同店内に侵入し、鈴木さんを消火器で殴って殺害したうえ、現金約10万円と鍵の束を奪って逃げた疑い。2人は調べに対し、「事件を起こしたのは間違いない。奪った金は2人で分けた」と容疑を認めているという。
 捜査関係者によると、19日未明に同店付近を走って逃げるところを目撃された2人組と似ていたことから、現場近くでよく遊んでいた両容疑者が浮上した。2人は以前、神奈川県内の矯正施設で知り合ったという。
(2011年9月27日20時09分  読売新聞)
 
 
ビルオーナー強殺容疑者 ネットに書き込み「犯罪できる方大歓迎」
産経新聞 10月3日(月)7時55分配信
 ■垣間見える軽さと残忍さ
 東京都豊島区の雑居ビルオーナーでゲームセンター経営者の鈴木明さん(75)が殺害された事件で、強盗殺人容疑で逮捕された田中勇気(21)と平田智大(22)の両容疑者を名乗る人物が、インターネット上で自分の“非行歴”を自慢し、「犯罪できる方、大歓迎」などと書き込んでいたことが2日、分かった。過去に事件を起こした経歴があり、警視庁目白署捜査本部は冗談交じりで書き込んだとみている。「遊び場」を狙い、鈴木さんを殺害し現金を奪う姿からは残忍さと短絡さが浮かぶ。
 ◆「たなかっちに刺激を」
 《一緒に犯罪できる方大歓迎です 最近刺激を求めてるんで誰かたなかっちに刺激のあることを教ええください 薬物も大歓迎》(原文ママ
 事件前、会員制交流サイトに「田中勇気」を名乗る人物が、こう書き込んだ。自分のことを「たなかっち」と呼び、連絡先も記した上、過去に事件を起こして少年院に入ったり、有罪判決を受けたりした「経歴」も隠すことなく書き込んだ。
 《○○少年院→○○少年院→○○拘置所→執行猶予5年保護観察付き こんな経歴ですがよろしくお願いします》(○○は実名)
 《1月24日~6月14日まで平田智大と二人でパクられました そして起訴され懲役1年10ケ月執行猶予5年保護観察付き判決です》
 捜査関係者によると、田中、平田両容疑者は実際に過去に窃盗事件などで逮捕されており、少年院にいた経歴なども確認されていることから、書き込みは本人の可能性が高い。
 しかも、その内容からは過去の事件を反省する様子はうかがえず、むしろ誇っているようにすら読める。2年前の平成21年には、平田容疑者を名乗る人物がネットの掲示板に、こう書き込んでいた。
 《窃盗、傷害×2恐喝住居侵入器物損壊暴行で見事に捕まりました 笑 少年院の中でも教官殴って違う施設に飛ばされました!!》
 ◆「捕まらないよ」
 捜査関係者らによると、2人は神奈川県内の少年院で知りあい、退院後も頻繁に会っていた。
 お互いの住居を行き交って一緒に遊ぶうち、遊興費目的で事件を計画するようになったとみられ、半ば軽い気持ちだった様子が浮かぶ。
 犯行のターゲットにしたのは、自分たちの「遊び場」だった。2人は事件のあったゲームセンターに何度か訪れており、鈴木さんとは顔見知りだったとみられる。平田容疑者の知人によると、鈴木さんを「良いおじいさん」と説明していたという。
 捜査本部の調べに対して、2人は「殺すつもりはなかった。遊ぶ金が欲しかった」と供述。捜査関係者は「考え方や、行動が極めて安易だ」と話す。その一方で、犯行の手口を見ると残忍さが際立つ。
 捜査本部の調べによると、鈴木さんは9月19日未明にゲームセンターを閉め、食事をしていたところを、突然、背後から消火器で強く後頭部を殴られて殺害された。鈴木さんが持ち歩いていた鍵の束から両替機の鍵を探し出し、中から現金十数万円を奪ったとされる。
 捜査関係者によると、2人は「閉店後は、おじいさんが1人でいることを知っていた」と供述。鈴木さんを計画的に襲撃した可能性もある。
 同27日の逮捕前、平田容疑者はテレビのニュースを見ながら、同居する男性に「なかなか捕まらないよ、こういうのは…」と人ごとのように話していた。不安を感じた男性は「もし、君がやったなら自首しよう」と促したが、「やってないから大丈夫」と否定したという。
 捜査関係者は「過去に自分の起こした事件と向き合い、反省したのか」と険しい表情で話した。
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 被疑者らと被害者は、どうも以前から顔見知り程度の関係はあったようですね。
 今のところ、直接暴行を加えたのがどちらの被疑者か分かりませんね。
 
 殺意については否認しているようです。
 本件では、消火器という重い物体をつかっていること、どうも後頭部という枢要部を攻撃していることなどは指摘できるとして、全体としてみたときに、さて、故意の認定はどうなりますかね。未必の故意あたりで争われるんでしょうか。
 まあ、そもそも、故意がなくとも、暴力をふるった結果死亡させているので強盗致死まではいくわけですので、
 法定刑は、 死刑又は無期懲役 ですので、どちらにせよ大変な事案という他ありません。
 
 共犯相互の主従関係、犯行への関与度合い等、細かい事情は全く分かりませんが、ざっくりとして、無期懲役~25年くらいが確率としてかなり高いと思います。 日本だと、まあ、刑務所よりも少年院の方が、矯正教育という面ではだいぶ進んでいるという認識で良かろうと思いますので、少年院経験をもって更生するどころか今回のような重大犯罪まで起こしてしまっている点を、従来の裁判のように少年時代の前歴は基本的にあまり考慮しないとなるのか、矯正不可能性に対する事情として重い方に組み入れることもあるのか、というところで、
裁判員がどのように評価するのか、いささか興味深いところと思います。
 
 仮に、極刑が出たら、刑事裁判もだいぶ変わったなあと思えることでしょう。