天皇生前退位(譲位)と憲法問題

天皇生前退位をしたい旨の意向を示したこと

元号候補を皇太子に示したこと

皇位継承の儀式を天皇家の伝統にのっとって行ったこと

などについて、天皇の政治介入だとか政教分離の原則違反だとか指摘する論者もいる。

前者については、既に天皇が実質的権力を持たないことを国民に周知されており、
そのように認識している中では、高齢者が職を辞したいとか自分のニックネームを事前に教えてもらうことなどが
天皇の政治介入などと思う人はごく少数ではないかと思われる。
天皇の地位が国民の総意に基づくものであり、そのような形式的なかかわりを政治利用だとか政治介入だとか
いうのは馬鹿らしく思える。

後者については、天皇制と政教分離の原則は、どちらも憲法上の制度であり、
政教分離天皇制に優越する根拠もないのだから、天皇制の皇位継承に伴う儀式が宗教的色彩を帯びていたとしても
特段の憲法上の問題を生じさせないと考えられる。