【責任能力】「精神の障害」(駄)

刑事裁判には、責任能力という刑罰に問うための要件が定められている。
これは東洋の歴史としてみても、少なくとも中国の唐律で
廃疾について重大な処罰を行わない旨の規定が見られるように
大変古い伝統的な考え方に連なるものである。

伝統的には、おそらく、「精神発達遅滞」、「統合失調症」などが典型的な
責任能力減免が検討されるべき精神病であると想定されていたように感じられる。
しかし、現代だと医師が病名をつければ、責任能力の主張ができる(通る)と
誤解されてしまっているのではないか。
そのために裁判の場では濫用的に主張されがちであるように思われる。

病気にはその人の責に帰すのがふさわしくないもの(これが上記典型例)もあれば、
単なる状態であったり、本人の人格や行動の結果とみるべきものもあり、
これらはその人の責に帰すのがふさわしいと思われる。
具体的には「(反社会性などの)人格障害」「窃盗症(クレプトマニア)」
「代理ミュンヒハウゼン症候群」などがあると思われる
(がこれらがあるから減免がおよそならないという訳ではなく、
単なる病名を超えたところにある真の精神状態がどうかが問題となると思われる)。

これは治療のための病名と、刑事責任を問うべきかが問題となる病気との区別が
一部法律家の中でもつけられていない人がいるからではないだろうかと思う。