家事事件の最高裁大法廷回付

最高裁が、夫婦別姓と女性の待婚期間規定について大法廷へ回付したというニュースが出ている。

下級審で敗訴した各当事者はいずれも、前向きな憲法判断が出ると期待しているようだが雰囲気的に必ずしもそうとはいえない。
単一の名称で呼ばれたいという利益や心情は尊重に値するかもしれないが
一個の家族共同体を観念することも憲法ではされているわけで
個人の幸福追求権として常に単一の名称で呼ばれるように扱われる基本的人権とまでして
各制度を構成し直すべき国家的な義務まではないように思える。
そんなわけで夫婦同姓が違憲という考え方は一般にそこまで強くないと思われる
(男性が女性の姓に合わせることも可能であり、実例も見ないでもないくらいにはあるので平等権の問題ではなかろう)。
出生番号をつけて国家が管理したいという方向性の方がありえそう。
そんなわけで、最高裁で問題に関する一定の理解は示されるかもしれないが
いきなり違憲ということはまずないのかなあというのが漠然とした感想。
(と思ったけど既に示唆する最高裁があったらべつかも。違憲で選択制への改正を要するとなるのかはわからんけど)

後者の待婚期間は、一部違憲(合理的部分もあるが過剰な制約)、全部違憲(男性と比べて明らかに不利であり、ほかの方法で嫡出推定すればいい)の考え方もそれなりにあるので
前者よりは何らかの判断が出る余地があるかもしれない。
それでも大法廷では多数にならずに合憲の確認にとどまるかもしれない。
あるいは、嫡出制度は広い影響のおよぶ問題なので、部分でいきなり違憲にするのは避けて
改正の必要性を指摘しつつ、親子とは何か、家族とは何か、DNA鑑定などの科学技術の発展との関係如何
などを踏まえた制度の立法を促す可能性もあるかもしれないなどと思った。