弁護士が強要未遂で逮捕

交際相手からのDV事件で、
弁護人が相手方に被害届や告訴を取り下げて欲しいと頼んだ(?)際に
「お前は公開の法廷で証言させられなにもいいことはない」
「一日も早く心にもない被害届を取り下げろ」などと記載した封書や葉書を送付したことで逮捕となったようである。

法的手段に訴えることを告げることも、告知の必要のない場面で言えば強要になる趣旨の裁判例はあったはずだが
今回の場面では被疑者にとっては起訴されるかどうかでそもそも大きな差があるから
相手方に、応訴態度を明らかにするとともに、その場合の見通しを伝えることは、通常、許されることになりそうである。
(※起訴前なのが前提で、もし起訴された後の話なら、いまさらいう利益に乏しいかと思われる。)

そうでないと、取り調べ官が、被疑者に対して、捜査・公判の見通しを伝えるのもみんな強要(未遂)になってしまう。
(まあ、不相当なことが多いと思うが、殊更に、家族も取り調べることになるとか、職場の同僚にも証言してもらうことになるな、みたいなことを伝えている捜査官はまだまだいるように思われる)

もっとも、今回は文言が「お前」とか「心にもない」などという侮辱的な表現が使われている点が気になるし
さらに言うと、被害者には代理弁護士がいたはずで(もしかしたらその封書や葉書の送付後に受任したかもしれないが)
それを無視して直接に送り付けたということになれば正規の交渉を逸脱した疑いは強まると思う。

具体的な事実関係が明らかにならないと確たることがなにも言えないが
ひとまずニュース記事レベルで、事実関係の検討や推測を行ってみた。