司法試験と日弁連幹部の傲慢さ

http://www.nishinippon.co.jp/wordbox/word/5464/9199
>法曹志望者 法科大学院迂回 予備試験組 高い司法試験合格率 「金と時間節約の抜け道」
> 11日に合格発表があった新司法試験で、法科大学院修了を受験の条件としない予備試験組の
>合格率が68%に上り、関係者に衝撃を与えている。経済的事情などを考慮して設けられた
>「例外ルート」にもかかわらず、どの法科大学院よりも高かったからだ。
>これをきっかけに法曹志望者の法科大学院離れが進み、経営悪化に拍車が掛かるとの見方も出ている。
 
> 「厳しい結果だ。優秀な人材が予備試験を目指す流れができかねない」。文部科学省の幹部は暗い表情でつぶやいた。

(省略)
> 「仕事を辞めることは全く考えていなかったので、予備試験があってよかった」。
>東京都文京区の投資運用会社社員(40)は、予備校の通信教育で勉強。
法科大学院には通わず念願をかなえた。

> 一方で「早く合格して、社会に出たかった」と予備試験を選んだ理由を話すのは
>東京大法科大学院の男子学生(22)。
>「法科大学院の授業は丁寧だけど司法試験にはプラスにならない」と打ち明ける。
 
> 司法試験向け予備校「伊藤塾」の佐藤修執行役員は「大学生は在学中に予備試験に挑戦し、
>駄目なら法科大学院に行けばいいと考える。予備試験を目指す学生は今後増えるだろう」と分析。
 
> 日弁連の中西一裕事務次長は、こうした流れに危機感を募らせる。
>「法科大学院は受験の準備をする所ではなく、実務家のため必要な教育を行う場所。
>『早く受かりたい』という理由で予備試験を選ぶという態度は、制度の趣旨と懸け離れている」

司法試験には、
大学→法科大学院(2年・3年)→司法試験→司法修習等→法曹、
予備試験(司法試験受験資格)→↑
法科大学院を経由するルートと、予備試験を経由するルートがあります。
前者は学費と年月が必要であり、後者は普通に受けられ費用も受験費用のみ(+αはいくらでも)です。

社会に出る速度、費用の大小を考えれば、優秀な人材であれば予備試験ルートを取ることは何ら不思議ではありません。法科大学院では素晴らしい・役に立つ授業をしているという話ですが、実際は疑問視されているようです。

そんな中で、受験生が予備試験ルートを取るのは自然なことですが、日弁連幹部のコメントは、上記のとおり、「法科大学院は受験の準備をする所ではなく、実務家のため必要な教育を行う場所。『早く受かりたい』という理由で予備試験を選ぶという態度は、制度の趣旨と懸け離れている」という、受験生の視点が欠落した、偉い人からの視線でした。

「制度の趣旨」、なんかよりも、「今のお金・明日の生活」の方が大事だと考える人は多いと思うのですが、強制的に制度に載せたいという思惑があるようで、あまりにも身勝手なコメントに呆れといささかの怒りを感じました。

利用者の側への配慮(すくなくとも意識、認識)がないようでは、この制度も官製(文科省と大学と弁護士のコラボレーションのようですが)の弊害をそのままに、閉塞して行くような気がします。