尖閣諸島国有化は、その結果を予期した意図的なものだったとしたら

尖閣諸島国有化は、決定的な紛争を回避しながら地方自治体を利用して結果として実効支配の強化を図るという途を取り損ねたという意味で「失策」ではないか、と疑問を呈してみた。

次に、もう少し見方を変えて、将来での衝突では勝ち目がないので、あえて「現時点」での衝突を辞さないという意図的なものがあるのでは、とうがった見方をしてみた。
(事態のコントロール能力がなければ、やはり有害ということもいえるかもしれないがとりあえず)

さらに、歩を進めて、意図的であるとしたら今後どんな行動に出るのかということを考えてみたい。

とりあえず、今回の件で、アメリカが尖閣防衛は日米安保の適用範囲内であると宣言している以上、
アメリカが同意できないような経緯での紛争に至るのでなければ良いのだから、それなりの配慮を重ねることで一定の支援を得る見通しはありそうだということになる。
 また、中国に進出している日本資本に、望むのであれば、退避の時間をある程度与える必要があるから、それだけの時間的な余裕は作らないといけないという制約もあるだろう。


 さて、尖閣諸島をめぐる行動で、アメリカが同意できなくなくて、かつ中国との紛争を顕在化させて実質的な勝利をおさめる、そんなながれにできるものがあるのか、ということが気になる。
 そこで、漁船の進出→巡視艇の治安維持行動→漁船監視船による反撃→自衛隊による防衛→軍による応戦という経緯はどうだろう?これは難しそうに思える。日本側が先手で防衛力を拡大させるという経緯は、あまり芳しくないと思われる。相手に先に強力なカードを切らせる、切ったことが第三者たちに分かるようにするというのがベストだろう。

 では、尖閣に、漁業施設を整備する、島の建造物を整備するなどの整備計画、あるいは周辺地域の資源開発の推し進め(アメリカ系の企業・人物に壱枚かませるのは当然のことだが)、といったやり方はどうだろう。
(いずれにしても、国が主導するのではなく、民間なり第三者の主導に応じて仕様がなくといった体を示す方が良いだろうが、そう見られる形ができるのは容易でないと思われる)
 こちらもどうなるかよく分からない。アメリカを中心とする第三国からの肯定的な意見を得られるかどうかが重要だが、どう転ぶかは、よく検討して、十分な配慮によって進められなければ有利なものとはならないように思える。

 素人の下手な考えでは、よく分からない、で終わるのだが、もし、今回の件がある程度以上に意図的なものであるとすれば、最悪、軍事衝突をいとわないであろう(将来の衝突前に衝突しておこうというもの)。
 もちろん、資本退避等の問題があるので、現在の紛争状態がいささか膠着するような状況がしばらく続くというのはありそうな気がする。
 その上で、何らかの尖閣諸島強化の方策を取り(一定のオプションを実行し)、現状の強みを活かす方向に出るかもしれない、と思う次第である。