司法研修所 実務修習制度の意外な意義

これまでの法曹になる通常のルートは、
司法試験合格→司法研修所入所(座学・実務修習)→卒業試験(二回試験)合格→弁護士・検察官・裁判官
で、それ以外のルートがないわけでもないですが、それは非常に例外的で、ほぼすべての法曹が
司法研修所における研修を経て法曹になっているわけです。
 
先日、司法研修所成立以来継続してきた給与制度が廃止され、貸与制度になるという報道がなされました。
(既に法律自体は成立していて実施をいつの段階にするかという状況にはあったようですが)
 
この修習制度は、基本的には修習生を育てるためのもので、育てることがどのように有用かという
観点で語られることが多い(、というかそれが当たり前の話の)ものです。
 
ただちょっと、この点で視点を変えて他の面での有用性はないかとふと考えてみました。
 
労働的機能、というのは、多分ないでしょう。基本的に修習生が極めて役に立つ場面というのは
特殊技能でもない限り、かなり少ないことだと思います。労働の対価としての給費制という議論にならない
ことからもそれは言えると思います。
 
他方、制度的保障のような観点ですと、
通常、裁判過程は内部的なものであって透明性等を確保することは難しいですが、
修習生の観点からその過程を観察する結果、根拠ある、合理的なものとして行われるということになる
作用もあるかもしれないなあと思いました。修習生が直接に変更するわけではないですが、
修習生の感想や見方が、裁判官なり検察官なり、あるいはその組織なりの考え方に影響を及ぼし、
その結果、司法過程の適正化が図られてきた、というのはどうでしょうか。