以前にも東名高速での死亡事故についてふれたが、
(https://blogs.yahoo.co.jp/nekonomanma/66279231.html 参照)
この事故について、被疑者は危険運転致死傷で起訴された。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171031-00000130-mai-soci
(一部省略)
>横浜地検は31日、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)と暴行の容疑で逮捕された容疑者(25)を、
>より刑の重い同法違反(危険運転致死傷)と暴行の罪で起訴したと発表した。
> 自動車運転処罰法の危険運転致死傷罪は最高刑が懲役20年で、同7年の過失致死傷罪との差は大きい。
>適用のハードルも高いが、横浜地検は、事故直前の悪質な「あおり運転」の状況を丹念に再現することで
>「危険運転致死傷罪に問う十分な証拠を得た」とした。
> 被告は過失致死傷容疑で逮捕された。だが、地検はその後の捜査で、被告の車が事故前の2分未満で4度、
>被害車両の目の前に車線変更して減速し、被害車両の停止を余儀なくさせたと認定。これらのことから、
>危険運転致死傷罪の構成要件である「妨害目的での急接近と危険を生じさせる速度での運転」に当たるとした。
> 事故は被害車両の停止から約3分後に発生しており、当初は運転行為と事故の因果関係を立証するのは難しい
>との指摘もあった。だが地検は、あおり運転によって被害車両を停止させなければ事故は起きなかったとして、
>悪質運転と事故に因果関係があったと認め、立証は可能と判断したとみられる。
危険運転致死の条文は次のとおりである。
(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、
人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、
その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
/箆妨害型+重大な危険を生じさせる速度の行為(実行行為)
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の要件が充足されれば危険運転致死傷が成立する。
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,肋攀鮗?犬箸修海ら認定できる事実の問題であり、記事によれば
重ねて先行して速度を落とす(すなわち交通に危険を生じさせる低速度)運転行為に及んだものと考え
この点を実行行為として擬律したものと思われる。
では、の点であるが、上記進路妨害運転型の危険運転致死傷では
対象車両と接触する、あるいは対象車両が動揺して事故を起こすのが典型的な因果として考えられているものと思われる。
したがって、対象車両ではあるものの、既に停車していること、事故の直接的な当事者は後方から進行してきた別の車両
であることなどから、上記実行行為に死傷の結果を帰責させられるかが懸念されたものだと思われる。
ここで刑法上の因果関係について確認する。
判例がどういう立場で判断するのかいささか不明とされるので適当に考えるが、
進路妨害行為により車両を停止させることは当然あり得ること、
さらにその場所は高速道路であり追突危険性もあること
などからすると、実行行為に内包する危険性が現実化したとみる余地はある。
他方で追突運転者の行為も過失にとどまっており帰責のさかのぼりを否定する事情とはならない。
したがって、裁判においての因果関係が肯定され、有罪認定を受ける可能性はそれなりにあるのではないか、と思われる。
なお、2名死亡の危険運転致死傷の量刑だが、よくわからないが懲役10年前後があり得るのかどうか程度かとも思う。
ネット界隈だと、安易に未必の故意で殺人で死刑とか、威勢のいい、法律のほの字も知らないような話が出てきているが
殺人の故意の認定はまず無理だろうし、ましてや死刑などと簡単に口走るのも浅薄な印象を受けてならないが
このあたりが市民のレベルということなのかもしれない。