【続報】弁護人への手紙押収は違法 大阪地裁、国に賠償命令

>【憲法・刑訴】弁護士宛ての手紙(草稿含む)の差押は許されるのか
http://blogs.yahoo.co.jp/nekonomanma/63083958.html
>2012/1/30(月) 午後 10:37

前に書いた記事の続報にたまたま接したので遅ればせながら一言。

大阪地検拘置所の独居房を捜索し、弁護人への手紙を押収したのは
刑事訴訟法上の秘密交通権の侵害にあたるとして、
>男性受刑者(44)と弁護人が国に3300万円の賠償を求めた訴訟の判決が16日、大阪地裁であった。
佐藤哲治裁判長は違法な捜索だったと認定し、国に計110万円の賠償を命じた。
>一方で「捜索を許可した裁判官にも重大な過失がある」とした男性側の主張は退けた。

> 男性は2008年、別の男と共謀して大阪府内のパチンコ店で従業員に刃物を突きつけ、
>金庫から約1千万円を奪ったなどとして起訴された。捜査段階で容疑を認めたが、
>一審の公判が始まった後の10年2月に起訴内容を否認。地検は同7月、大阪拘置所の単独室を捜索し、
>男性が弁護人に出すことにしていた手紙や弁護人が被告人質問の内容を書いて差し入れたメモなど約40点を押収した。
>男性は懲役10年(求刑懲役13年)の実刑判決が確定した。
http://www.asahi.com/articles/ASH3J4HS6H3JPTIL01G.html

判決文に接していないので無責任な物言いになるのは否めませんが
記事によれば、裁判所は、大阪地検の捜索は秘密交通権侵害にあたる捜索との判断をし、賠償を認めたということですので、
単に差し押さえた物が不適切だったという執行の問題ではなく、その前提自体に何らかの誤りがあったようです。

これに対し、裁判官自体の重大な過失は否定したということですので、この主張が何にかかわるのかは不勉強で分かりませんが
ことによると、国家賠償法による公務員個人への国による求償の余地があるかにもかかわる判断がされたのかもしれません。
(原告と国の裁判で、職務者の過失の有無以上に、軽過失・重過失の判断まですることがあるのか、
裁判の人的効力として意味があるのかよくわかりませんが。)
記事からは良くわかりませんが、結局、裁判官の令状発布に過失があったのかなかったのか、の点がどうだったかは
地検の突出したミスなのか、令状実務全般における適法性への意識のルーズさの表れなのか、気になるところです。

ともかく、令状関係の書籍にも指摘のあるところですが
公判手続開始(・起訴)後の、(被疑者に対する)強制捜査については、その適法性を慎重に検討した上で
行われなければならないのであって、
本件はそのことを改めて注意喚起したものとして考えなければいけないのでしょう。