判決同士の矛盾2

民事訴訟の判決は手続相対的な効力しかもたないが、まあ基本的には相手を上手に選べばそれで廻るようにできている。

しかし相手ごとに判断がずれると困る場合もある。会社関係訴訟とか。
そういうものには対世効といって、一度の手続で判断が固まり、以後は訴訟に参加していなかった人も覆せない(その判断に拘束される)規定が定められている。

実は行政事件でも取消訴訟にはその効力が定められている。
しかしどうやら今回の決定をきくに、義務付け訴訟にはそういった規定はないとようである(きちんと調べてないけど)。
そうすると当事者が違えば違う結論もでる。客観的には困る場合もあり、それが今回のケースということになりそう。

では最終的な決着はどうするのか。
よくわからないがとりあえず国に勝った当事者同士で自分達に出た判断の方が正しい、相手はそれに従えと訴えて結論を出してもらうということが考えられそう。

また、国がやる、やらないを判断して負けたほうには損害賠償をして済ませる、というのはあるかもしれない。
もっとも国が債務不履行を積極的にやるというのには違和感もあるわけだが。

とにかくいろいろ難しそう。



ちなみに、同じ当事者同士で実質的に抵触するような判断が出うるものとしては
DV防止法の子への接近禁止命令(地裁)と、子との面会交流の裁判(家裁)である。
これについては、効力についての理解を書いてある本があるので、暇なときに別途紹介したいと思う。