裁判員裁判の量刑評議について

朝日新聞 2010年5月18日(火曜日)14版の社会面(30面)に
裁くということ 裁判員経験者のアンケートから 2
という記事の中に
「評議は非公開。被告が有罪か無罪かや、刑の重さを話し合う過程は見えない。
 ある裁判員経験者によると、刑の決め方はこんなイメージだ。
 議論の最後に「自分が適切だと思う量刑」をそれぞれ紙に書き、
 裁判官が1枚ずつ読み上げる。検察官の求刑に賛同する裁判員
 「被告の年齢を考えると」と軽い刑を書き込んだ裁判員
 裁判官も含めた多数決の末、求刑よりやや軽い刑に落ち着いた。」
という記載がありました。
 
 この無記名記載利用方式は、この裁判員の方が経験したもので、
実際にはどこの裁判体でもやっているわけではないでしょうが、
これにはいくつかのメリットがあるように思いました。
 
1つ目には、口頭の場合に最初に意見を言う裁判員のプレッシャーが大きくなりそうだが、その負担を回避できること(裁判官が最初に言うのは2つ目でみる弊害を大きくする)
2つ目には、2人目以降の裁判員が最初の意見に引きずられてしまうかもしれずそれを回避できること
3つ目には、評議は乗り降り自由ということに慣れていない裁判員が、一旦全員の前で口にした数字を変更することに強い心理的負担を覚えることを回避できること
 
というところでしょう。
 
 他方で、この方式の利用は裁判員が多数に引きずられるとか、全体の傾向に迎合することを容易にするなどのデメリットもありそうです。
 両者の利点、欠点を考え合わせた上で、利用の是非を決することが大事なのだと思います。
 まあ、実のところ、このような評議のやり方の原型のようなことを、
思い付きのようにどこかで語ったことがあったので、それと同じようなことが行われている
ということが何となく嬉しく思えました。