法曹界は「貧困」化するのか?

 下記は、たまたまみた雑誌からの引用ですが、専門業種もしだいに厳しくなっている状況がうかがえるような気がします。
 しかし、ある修習生のことを「非常によくできる方」と本気で思っているなら、その事務所で採用するなり、知人の事務所にあっせんするなりしそうなものだと思うので、その人については、多少リップサービスの面もあるかもしれませんね。とはいえ、水準以上の方が、多額の債務を負っている、法曹になりたくてもなれないというのは、かなり心配な状態だと思います。これがある程度一般化しているなら、ですけど。
 そして、先行投資が莫大な上に、先行き不透明という業種では、質のいい新規参入者は減っていくばかりになるように思います。日本弁護士連合会の会長挨拶(http://www.nichibenren.or.jp/ja/jfba_info/kaityou_aisatsu/kaityou_aisatsu2008.html)などをみれば、弁護士会法科大学院制度は素晴らしい、とやっているような感じですが、現実にかかる費用・負担についての言及はほとんどないですし、実際の会員の方々の反応はどうなんでしょうね。

 後段の方は、自由競争の難しさということでしょうか。取らなくても大丈夫という時代ではないので、取れるときにがっつり取るに移行しつつあるのかもしれません。競争によって値段が高止まりする、というのは、なかなか皮肉ですが。

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第一東京弁護士会会報 平成21年7月号 No.436 23頁,26頁

「私の事務所で修習していた修習生は,ロースクールを出て旧試験で受かっているのですが,ロースクールの債務が数百万円あると聞いています。非常によくできる方で,ちょっと前だったら簡単に就職が決まっただろうなという方なのですが,就職先がなかなか決まらなくてインハウスで契約社員になるということでした。」(52期若手会員委員会委員)

「最近の弁護士について一言感想を言います。完全に適法なんですけれども,やり過ぎじゃないのかという報酬請求の仕方をする人が増えてきた気がします。」「その先生は自分のアソシエイトに請求書を書かせています。これは勉強になり良いことだと思います。しかし,そのアソシエイトですら抵抗感がある請求書を書かせているのです。そういう傾向が今後増えてくると,我々の業界の社会的信用に影響してくるのではないかな,という不安があります。」(58期小規模事務所勤務弁護士)