94条2項(類推)と表見代理(109、110、112)の適用場面

ちょっとしたお勉強の関係で、いわゆる権利外観法理の問題について考える機会があった。

94条は意思表示に関する通謀虚偽表示の場合の第三者保護規定で、
実際には虚偽の登記があった場合にそれを信頼して取引した者を保護する際にも
類推適用で拡張的に用いられているものだと思う。第三者の信頼は善意のみで足りる。

他方、表見代理は、無権代理の派生系で、代理という形があるときに
相手方を保護するという規定で、そこから少し逸脱する事案について
類推適用とか重畳適用ということで用いられている気がする。
三者の信頼は善意無過失まで要求される。

では、ということで、実際の事案の際においては、
94条2項と表見代理はどちらがどう使い分けられるのかという疑問が生じた。

それで、簡単にいくつかの教科書レベルのものを見たけれど、それに言及しているものがなかった。
そうすると、基本的には両者は別次元の話で
事案ごとにそれぞれ適用の有無が判断されるのみとも思えた。

ただ、やはり上記のように、場面ごとで話題にされる条文が違う感じなので、
そこには区別というものがあるようにも思える。
ここで、それぞれの事例を考えてみると、
94条2項類推の場合は例えば登記などにより権利が偽られている場合であって、
表見代理は権利はあくまで本人のもので、有権代理と偽ったり、本人になり済ましたりという場合である。
だとすると、いずれも権利外観法理に基づくと言っても、実質的には、
94条2項(類推)は、権利が誰に帰属しているかの部分が偽られている場合に用いられ、
表見代理(類推)は、権利が帰属している主体に誤りはないが、人を偽っている場合に用いられる
というふうに区別するものなのかな、と思った。

どこかにすっきり整理した文章等があれば、(両者は無関係だというのでいいので)
どなたか教えてください。