法的性別と性自認に関する最高裁判例の評釈

法学教室524号に掲載されていた最高裁令和5年10月25日決定についての評釈の批判的検討が興味深かった。

「日本国憲法は、生物としての人間に雌雄が存すること、そのことにより必要とされる限りの取扱いの差異を否定することなく、性役割を否定することに貢献してきたのではなかったか。ジェンダーに合わせた取扱いを受ける利益は、原理的にはこのような営為に逆行する。それゆえに、この利益が身体違和を中核とする性同一性障害の文脈を離れて独り歩きすることに警戒を要するのである。」

「性自認の利益を一般化し、性別の変更そのものを自己実現の成就のように扱うことには賛成できない。」

 この他にも外観要件に関わるトラブル事例の頻出問題への感度の鈍さ、付随的審査制の限界などにも言及しており、この問題を取り巻く裁判上、社会上の問題点や違和感を言語化して指摘してもらったものであって、この問題が気になる人には目を通して損のないものだと思う。