構造複雑化の質的な差異として現れる創発的特性

東京大学が「因果を打ち破って充電」する量子電池を発表

(※量子力学の扱う小さな世界では時間は存在しないとする意見も存在します。この意見では「時間は巨視的なシステムの創発的な特性」として理解されています。つまり小さな世界では時間が存在しないものの、システム全体が大きくなるにつれて時間の特性が後付けされる(創発される)と考えられています)

 

量子電池に関する解説記事の中の特に興味深い部分があったので引用した。

 

ある単純なシステムには存在しない、必要ないルールや機能や秩序(特性)がある。存在しない、必要ないものなので単純なシステムの中にいるものにはそれがなにか気づかない。

しかし、システムが高度化複雑化することで、今までにない特性である時間が生じる、これが量子力学からニュートン力学へと移行するということなのかもしれない。

これを人間の脳に当てはめるなら、元々の様々な事象に対処する個々の機能には意識は存在していない。ただこれらの機能の一定以上が集まるなどして脳が複雑化した結果、統合体としての特性としての意識を獲得することになった(インタープリターにより)ということかもしれない。

そして、人間が「とっさの」行動について、何も考えていないというのは自然なことであって、意識は因果的に先行していないということがむしろ自然で科学的な裏付けもあるのかもしれない。そして「とっさの」行動は、意識が存在しない故に故意がなく無罪、となるわけではなく、ある種の出来事に対する反射的なものとして反社会的な行動を取るような機能を構築してしまった、という人格的責任に(故意責任の)非難を向ければよいのではなかろうか。