最近知った古い本。
『失敗の本質』などと似たような時期に出たもののようだが
あちらが、国家的な組織全体を見て局面ごとにどこに失敗の原因があったかを探求しているものであるのに対し、
こちらは、小集団(200人弱)におけるリーダシップの在り方、あるいは企業リーダーのふるまい方に通じる
成功例の話であった。
この話のあらすじは、乗船した軍艦が敵の攻撃で沈没し、カッターによって水没を免れた200名弱を統率して
その場で救助を待つのではなく、遠く離れた西方へ残存部隊を引き連れていく航海を決定遂行し、成功させた
というものである。
著者は小集団のナンバー2で、ナンバー1である先任将校の統率を中心に
集団の他の者の動向などに言及している。
リーダーの忍耐強さや士気を維持する工夫など、集団を率いる際に有効と思われる示唆に富んだものである。
私もいろいろとなるほどと思わされたが、その中でも
頭でアンカーの作り方を知っていてもだめで
実際に使えるものを作り出してこそ評価される
知識ではなく智慧が大事だという趣旨の話には大いに頷かされた
(出てきたのは本編ではなく続編だったかもしれないが)。
言葉で聞き心地のいい何かを言う前に、あれができてる、これができてるという
現実の成果を目の前に示せてこそと思うことがしばしばある。
中国戦国時代の趙括という武将は名将とされた父親を兵法議論で論破したことなどもあり
国の総大将に任命されたが、実践の戦いでは包囲に陥いり兵はことごとく捕虜となり
埋められたという故事もふと思い出した。