【最高裁】夫婦別姓問題など

>「夫婦別姓認めず」は違憲最高裁で弁論
>11月4日 16時47分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151104/k10010294041000.html

>(http://mainichi.jp/shimen/news/20151105ddm041040136000c.html
>(夫婦別姓を認めず、女性だけに再婚禁止期間を定めた民法の2規定が違憲かどうか争われた
>2件の訴訟は、最高裁大法廷が4日に弁論を開き、年内にも初の憲法判断が示される見通しとなった。)

先日、夫婦別姓などについて最高裁で弁論が開かれた。
1審、控訴審で請求を棄却された原告が上告をしたところのに対して
最高裁(大法廷)が弁論を開いたという意味は大変大きいということになるだろう。

なぜなら、最高裁が上告を棄却する場合には口頭弁論を経ないでできるが
原審を破棄する場合には弁論を開く必要があるからである。

 (口頭弁論を経ない上告の棄却)
 民訴法第319条  上告裁判所は、上告状、上告理由書、答弁書その他の書類により、
 上告を理由がないと認めるときは、口頭弁論を経ないで、判決で、上告を棄却することができる。

そうすると、わざわざ弁論を開くのは、原判決を覆すからだという観測もあると思う。
ただ、どうも最近は、弁論の充実という観点から、原審維持であっても上告審で弁論を開こう
という考え方も出ているやにも仄聞する。
であれば、「年内にも判決」という記事によれば、結論は内部的に出ているのだろうが)
結論自体がどちらなのかは必ずしも分からないと思われる。


>「夫婦別姓」「女性のみ6ヵ月再婚禁止」論議に覚える違和感
http://diamond.jp/articles/-/81298
http://diamond.jp/articles/-/81299
それで夫婦別姓について書いているコラムがあり、
感覚的なところにはうなづけるものがあったが
気になるところもあるので少々触れたい。

>裁判を起こすにあたり訴えは必要だが、
>婚姻による改姓により精神的苦痛を強いられた――、
>とする主張にまずガッカリだった。
>そのうえで国にカネを払えと賠償請求する行為に、
>今度は萎えてしまった。

民事裁判では具体的な争訟性が求められるため、
訴訟の判断をさせるためには不法行為に基づく損害賠償請求という形をとることが
必要であって、それを真意と誤解しているようであるのが残念といえる。

そして、こういう裁判は、おおかた政治的訴訟であって、
社会的に注目を集めることに目的があるので

>女性は法律に翻弄されてきた――、なんて文言を目にするにつけ、
>この人たち本当は活動家なんじゃないか、なんて錯覚にもとらわれてしまうほどだ。

というのがおそらくは「錯覚」ではないと指摘しておきたい。
上記のとおり推測できるどおりであれば、
この人たちがある種の「活動家」であると評価できるからである。

したがって
> 私は夫婦別姓でもいいだろうと思っているし、
>諸外国のような「選択制」を取り入れればいいと思っているが、
夫婦別姓を求める理由が「改姓すると自分が自分でなくなる」とか
>「精神的苦痛を強いられた」とか言われると、へそ曲がりな私は、
>こーいううるさい人たちを早く黙らせるために……、
>もとい、原告の方々に早く納得してもらうために法改正を急いだほうがいいように思ってしまう。

と考えてくれるのは、まさに原告団の望むところであって
中通りということになるのだろう。


さて、最高裁の実際の判断はどうなるか。
夫婦別姓は上記のコラムが指摘する通り子供の姓をどうするかが決まらなくて困るし
夫婦のどちらかの姓にすることが求められていて男性の姓にする義務はないという意味で
形式的には平等であるといった点も踏まえると
請求自体は棄却されると思う。
ただ、最高裁がどこまで先進的か分からないが
過去の答申案も踏まえて、立法がいつまでも夫婦別姓を導入しないといずれ違憲になる
なんてところまで踏み込むこともひょっとしたあるかもしれない。
(最近の最高裁は、立法が最高裁を尊重しないで選挙制度でいい加減なことしてるので
 腹に据えかねているかもしれないしね)

再婚禁止期間は女性にしかないし、
どちらの婚姻期間の子供かを判別するというだけなら
期間はもっと短くてもよいだろうし、
一定期間嫡出推定を外すといったことでも対応が可能になるだろう。
昔みたいに医学が発展していない時期には合理性があった制度だろうと思うが
現代のようにDNA鑑定が発達した時代で維持されるのかには若干疑問もある。
ところで6か月待ったからといってそれでどれほど大きな精神的苦痛があるのかな。
相続が受けられなかったなどの現実的かつ具体的な損害でやってくれた方が
論点が明確だったかもしれない。