タダで食べ放題の相席居酒屋の法的構成

<記事要約>
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150915-00003688-bengocom-soci
>「タダで食べ放題」相席居酒屋で、大食い女性に「退店して」――店の対応は許される?
>弁護士ドットコム 9月15日(火)11時13分配信

>タダで食べ放題の相席居酒屋で、毎日ご飯を食べていたら退店させられた――。
>ネットの掲示板で、大食い女性の投稿が話題となった。

>見知らぬ男女同士を同席させる「相席居酒屋」は、男性が飲食代を支払い、女性はタダというところが多い。
>投稿者は、上京したばかりの学生で、食費を浮かすために、相席居酒屋に通っていた。
>「一日4食がアベレージ」で、相席居酒屋では「ご飯は2、3升におかず数キロ」を食べていた。
>同じ系列のお店に、店舗を変えながらほぼ毎日通っていたという。

>●いったん受け入れた客を、無条件で退店させることはできない

>「飲食店は、客を選べないわけではありませんが、これは入店時においての話です。
いったん受け入れた客については、無条件に退店させることができるわけではなく、
>契約内容がどのようなものだったかによります」

>食べ放題の店で、『食べ過ぎの場合は退店』という条件が示してあるとは考えられないでしょう。
>ですから、今回のケースでも、本当に食べすぎが原因なのであれば、
>『次回から入店をお断りします』という対応はあり得ても、当日に退店させるという対応は
>許されないと思います」

>●退店しなければならないケースとは?

>「いいえ。明確な条件を示さずに、『店の判断で退店をしてもらう場合があります』といった表示で、
>『なんでもアリ』的な条件が付されている可能性がないとはいえません。
>その場合は、女性については料金が無料というわけですから、
>退店という措置も受け入れざるを得ないかもしれません。
>ただし、安くとも有料であれば、そうした『なんでもアリ』的な条件は、
消費者契約法違反で無効になる可能性が高いでしょう」

>大村弁護士はこのように分析していた。

女性は男性との相席を条件として無料で食べ放題ができる店について
上記のとおり、ある弁護士は、基本的に、店側は途中で女性客を退店させられないと述べている。
しかし、そうだろうか。一般的な感覚にそぐわないのではないだろうか。

むしろ店の飲食物提供行為は、負担付贈与と構成することで、
書面によらない贈与は履行の終わった部分を除き撤回できる(民法553条、550条)との規定を適用し、
店側が退店を命じた時点で贈与契約が撤回された(過去分は有効だが、将来分は無効になる)と
見た方が良いのではないだろうか。

つまり、店側による飲食物の無償提供が一方にあり、男性との相席が他方にある。
両者のコストを比べると、一般的には前者が後者よりもかなり大きいから、
前者を贈与、後者を贈与を受ける際の負担と理解するということである。

有料の食べ放題で想定を超える金額を食べる場合にはいろいろと難しいが
本件では女性客に食べ放題に対する直接の支払は発生していないのだから、
女性客がそれほど強い立場にあると考えない方が自然ではないだろうか。

また、多数回、同じ人が、ただで大量に食べ放題をするのを店が途中で止められないのは
店側の負担が大きいように思う。正直いつも同じ女性客が大量に食いまくる姿を晒されるのでは
男性客の集客にも差し障り、男性をにたくさんお金を払ってもらって女性分を回収しようという
店の経営の在り方に支障を生じさせるように思える。

そこで、上記のような負担付贈与と構成すると、落ち着きのよい結論になると思うのだが、どうだろうか。