電王戦第三回について

第二回の電王戦(ソフト対プロ棋士)はとても楽しませてもらった。
その第三回が正式に発表された。

ここでは新たな条件が追加されたのだが、実のところ懸念がある。

ひとつは
・コンピューター側は主催者が用意した統一のマシンを使用すること。
これは、プログラムを中心にするという考え方の変更で、
今回はそちらに重点を置くというのは悪くないと思う。

もうひとつは
棋士は本番で戦うのと同じプログラムとマシンで事前に練習対局できる環境を主催者側が用意すること。
これは、棋士側がぶっつけ本番になって不利になるから、という趣旨だという。
前回の対戦の様子からするとプロ棋士側がこういう条件をつけるのはわかる。

しかし、特にプログラムが本番と練習で全く同一というのは非常に気にかかる。
なぜかというと、非常に多くの対戦を重ねれば、ソフト側にランダム要素が少なければ
プロ棋士がコンピュータに対する勝ち筋を発見してこれを覚えるということになりかねないからだ。

弱ければ勝ち筋は見つけられないからそれも勝負のうちと見る向きもあるかもしれない。
しかし、ソフトが複数あれば、それを対戦させれば、勝ったり負けたりするだろう。
あまり強くない人でもその棋譜を暗記していけば本番で勝ててしまうかもしれない。

マシンを限定すること、練習環境を用意することは悪くない制約だが
そんなわけで、プログラムの改良。修正を認めない今回の条件は非常によくないものだと思う。
この点が勝負の公正さとして気になるところで正直残念なところである。