免責不許可と非免責債権であることとの関係には、しばしば混乱がみられます。
免責不許可についての意見申述において、自己の債権が非免責債権であるとの主張をされる、ということです。
この点の混乱は、実のところ、要件事実的にみれば簡単に解決されると思います。
要するに、請求原因 ○○→ 抗弁 免責許可 →再抗弁 非免責債権ということです。
具体的にみると、無名義債権の場合
免責許可決定の後に、訴えを起こすと、上記の要件事実の流れになり、
請求認容、あるいは請求棄却の判決等がされて債務名義が成立するということになります。
(執行の段階では、免責許可決定日より後に成立した債務名義である判決等に対しては、
免責許可を理由として請求異議を出しても既判力ではじかれます)
他方、免責許可決定の前に債務名義を得ていた場合(有名義債権)、
仮に、既に債務名義による執行手続が進行していたら、
破産手続開始決定の段階で手続が中止(ないし取消)され、
免責許可の段階で手続は失効します。
その後、再度、債務名義に基づいて執行申立てをすると、
これに対して、債務者側が請求異議を出し、この場面で、免責許可の存在を主張し、
これに対して、債権者側が非免責債権性を主張するという流れになります。