三菱重工に対する損害賠償請求事件

ネットのニュースレベルの情報で雑感

三菱重工が、第二次大戦中の行為につき韓国の裁判所で損害賠償を命じられたという。

準拠法がどこかは知らないが仮に日本だとすれば
不法行為責任の有無や時効(3年、20年)はどうだったのかは良くわからないと思いつつ
日韓基本条約による請求権放棄が飛び越えられてしまっている点は驚きを隠せません。
(日本の裁判所でもこの点を根拠に請求を棄却している例があったと思います)

ただ、韓国の最高裁は日本にたいして政府は請求すべきなどと
請求権が残存しているかのような態度をとっているらしいので
判決が覆る可能性は高くないようです。

その場合どうなるかです。
日本にある三菱重工の財産に執行しようとすると、
普通の日本の判決とは違い、日本の裁判所で判決の承認を経た上でないと執行できません。
そのため、条約の規定に反すると思われる判決が承認されるかには疑問があります。
つぎに韓国内に三菱重工の財産があれば韓国法に基づき執行されるためおそらく覆す余地はないと思われます。

では仮に三菱重工が韓国で執行を受け財産的損害を受けたとしたら何らかの回復手段があるかと考えます。

なかなか難しいように思いますが韓国裁判所の行為を不法なものとして訴えられることくらいでしょうか。
もちろん韓国の裁判所に訴えても既判力により主張が通らないのは火を見るより明らかです。
では日本の裁判所に訴えたときどうかということです。
裁判権や管轄などの形式的問題、外国国家の権力作用を否定する要件・不法行為の認定ができるかといった実質的問題がありそうです。


いずれにせよ、外国は必ずしも日本と同じルールで動いてはいないこと
(しいてきであったりすること)、
その場合外国に財産があれば執行を免れないが
日本国内においておけば日本の裁判所での承認手続という壁(厚みや高さはさておき)があるという点は意識しておいてよいかもしれません。