ふるさと納税制度の賛否

ふるさと納税制度は、自治体に、
おおむね住民税の2割を寄付すると
2000円をさしひいた分の控除が受けられるものである。

その寄付は上限(住民税だと2割)があるものの税控除が受けられる一方で
居住地以外の自治体に寄付をした場合には返礼品が設定されていることが多く
その返礼品も、半額程度に設定されている自治体も少なくないため、
それなりに大きな税金を納めている納税者にとっては、まめにやれば大きな節税になる。
確定申告をする人であればさほどの手間もない。
個人にとっては良い制度のように思われるが、疑問や批判もあるようだ。

いくつかを挙げてみると
①同じ自治体のサービスを受けるのに制度を利用するとより安く受けられるから不平等だ
②そもそも他の自治体に寄付されてしまうとその分住民税収が減り、サービスの悪化を招く。
③地域での癒着を生んで腐敗・不正が横行しかねない。

それなりに根拠のある批判もあると思うが、
それでも個人としてふるさと納税の恩恵に預かることを是としたい心情から
これらについて反駁してみたい。

まず、ふるさと納税のメリットとして、既にみた個人に利益があること以外に
(1)田舎出身者が地方の税金で教育を受けて都会に出ていきそこで所得を得て税金を支払っても
過去に負担をしてきた地域には還元されない。その一部を都会から田舎に移転できるこの制度は
それなりに有意義であろう(縁のある地域に限られないことからやや説得力は乏しいが)

また、
①については、自治体のサービスはもともと税金の多少で決まっておらず、サービスの利用実態と無関係に
所得の多い人が少ない人よりも多額の税金を納めているという現実があるがそれを是正していない。

②サービスの低下を考えるのはもともと10割もらえるのが8割に減ったと考えるからであって
、制度導入に伴って、利用できる税金がその8割になって、サービスの基準もそれを踏まえたものと見ることも
 できるのではないか。
 そして、残りの2割等については他県から寄付が集まるとか、居住の住民がふるさと納税を利用しないなどによって、ある程度補充・上乗せできるという時代になったということではないか。
 サービスの恩恵を現に受けているところで、税収が10割→8割となるのはいささかずるいようにも思えるが
一応そんな考え方もある。
 また、寄付で出た75%は普通交付金として交付されることから、純粋に2割減ということではない。
 また、非居住地域における政治に対する国民の不満を表すことができるのも挙げられる。
 例えば、富山で政務調査費だかを法令に反して受領して10人以上の議員が辞職する事態があったが、
そのような自治体に対しては、全国の人が寄付をやめよう・減らそうと考えて行動に移せたとしたら
金額で言うと相当の減収による影響が出てくるのではないかと思われる。
納税先を選択する方法による、リコール制(民主的な制度)が導入されたとみる余地もあるかもしれない。

③については、警察とかが頑張ってもらうしかなく、合法的な範囲ならやむを得ないようにも感じられる。