【破産】「破産と相続(?)」破産手続中の死亡生命保険金の帰属

判決要旨
>破産手続開始前に成立した第三者のためにする生命保険契約に基づき
>破産者である死亡保険金受取人が有する死亡保険金請求権は,破産財団に属する

 上記事例を大雑把に要約すると
破産者は平成24年3月に破産手続開始決定を受けたところ、
その翌月、息子が死亡し、破産を考えなければ
破産者には、破産手続開始以前から息子が加入していた
死亡保険金の請求権(合計2400万円)が生じるが、
これは、破産財団に属するものかどうかという問題である。

 最高裁は、「破産手続開始前に成立し
三者のためにする生命保険契約に基づき破産者である死亡保険金受取人が
有する死亡保険金請求権は,破産法34条2項にいう「破産者が破産手続開始前に生じ
た原因に基づいて行うことがある将来の請求権」に該当するものとして,上記死亡
保険金受取人の破産財団に属すると解するのが相当である。」
として、破産財団に属する財産となる(要するに破産債権者に分配すべきもので、
破産者個人のものにはならない)という判断を出した。

 生命保険は死亡という停止条件により成就するものであり、
条件が成就されない段階でも財産的な価値があるものとして扱われていることが
上記判断の根拠にもされているが、特に疑問に感じるところはありません。

なお、この判決で面白いのは、破産者は既に生命保険を受け取って1000万円費消しており
しかもそのうちの800万円は弁護士の助言に従って費消したものであるという点です。
結局、破産者は元本はもとより遅延損害金の支払も請求されることになり、また、
弁護士も連帯責任を一部問われたわけですが、法的助言の重みというものを改めて考えさせられました。