【民法】土地の液状化と販売業者の賠償責任

第1 事案概要

 東日本大震災地震により,土地に液状化被害が生じた浦安市の分譲住宅地の住民らが,販売元の三井不動産及び関連会社を被告とし,液状化の予見ができたのに改良工事をしなかったのは不法行為にあたるなどとして,地盤改良工事費や住宅補修費、慰謝料など総額約7億円を請求したというニュースがやっていました(下記参照)。

これを法律(民法)的にみるとどうなのか,自分の頭の体操的に少々やってみたいと思います。
 
    記
<1>東京新聞http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012020202000203.html
浦安の液状化 集団提訴 三井不動産に賠償請求2012年2月2日 夕刊
 東日本大震災で千葉県浦安市の分譲住宅に液状化の被害が出たのは不動産会社が適切な対策を怠ったからだなどとして、住民と所有者ら三十二人が二日、住宅売り主の三井不動産(東京)と関連会社に地盤改良工事費や住宅補修費、慰謝料など計約七億円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。
 原告側弁護士によると、東日本大震災での液状化被害をめぐり、数十人規模の集団提訴は初めて。
 訴状によると、原告の住民らは一九八一~二〇〇五年に同社から分譲住宅を購入するなどしたが、震災で敷地が液状化し、住宅が傾いたり、共用部分の給水管やガス管が破損したりした。転居を余儀なくされた人もいる。
 住民らは、分譲住宅が立つ埋め立て地周辺は、分譲当時から県や市の調査で液状化の危険が高いと判断されており、近隣の旧公団住宅の敷地や東京ディズニーランドの園内では七七~八〇年ごろに地盤改良工事が行われ、液状化が起きていないと指摘。「三井不動産液状化の被害を予見できたのは明らかで、地盤改良工事を施さずに販売したのは不法行為にあたる」などと主張している。
 提訴後に会見した住民らのうち八一年から住み、半壊の被害を受けた男性は「窓の開け閉めも不便になり、庭には泥が噴き出した。近隣の団地では被害がないところもあり、これは天災でなく人災だと思う」と話した。
 三井不動産広報部の話 訴状が届いておらず、内容を確認していないので、コメントを差し控えたい。
東日本大震災による液状化現象で自宅が損壊したのは、売り主の「三井不動産」(東京)が対策を怠ったためだとして、千葉県浦安市の分譲住宅地の住民ら32人が2日、同社などに計約7億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 原告側代理人によると、今回の震災で液状化被害を巡る集団訴訟は初めて。 訴えたのは、同社が1981年から同市入船の埋め立て地で分譲を始めた「パークシティ・タウンハウス3」(全70戸)の27戸の所有者。 訴状などによると、液状化の影響で家が傾いたほか、配水管やガス管が破損するなどし、27戸のうち10戸は全壊に次ぐ「大規模半壊」と市から認定されたという。地盤改良工事が施された近くの分譲地は液状化しなかったことから、「適切な工事を行えば被害を防止できた」と主張している。(2012年2月2日11時18分 読売新聞)
<3>毎日新聞http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20120202dde041040051000c.html
東日本大震災:千葉・浦安の液状化で住民が提訴 27戸32人、三井不動産相手取り
 
東日本大震災液状化被害が起きた千葉県浦安市の住民らが2日、液状化対策を怠ったのは違法として分譲住宅地を開発・販売した三井不動産(東京都中央区)とグループ会社を相手取り、計約7億円の賠償を求め、東京地裁に提訴した。三井不動産が81年、同市内の埋め立て地で分譲・販売を始めた3階建て住宅(タウンハウス、70戸)のうち、27戸32人が原告となった。
 訴状によると、同市で震度5強を記録した東日本大震災で住宅の敷地が液状化。建物が傾き、地面が陥没するなどの被害が起き、転居が必要となった住民も出た。一方、80年に着工され、三井不動産も出資したオリエンタルランドが所有する市内の「東京ディズニーランド」では駐車場以外は対策が施されており、被害は出なかった。原告側は「分譲当時、三井不動産液状化の危険性を認識していたのに地盤改良工事を実施しなかった」と主張し、地盤改良工事費や建物の取り壊し費、慰謝料などを支払うよう求めた。提訴後、記者会見した住民代表の上野智さん(72)は「隣接の団地は被害に遭っていない。裁判を通じて責任の白黒をはっきりさせたい」と話した。【野口由紀】
 ◇「道路隔てて被害に差」 「これは天災ではない、人災だ」。東日本大震災により、市内の約85%が液状化し、住宅約8500戸が傾くなどの被害を受けた千葉県浦安市で、80年代に分譲されたタウンハウスの住民が、損害賠償を求めて立ち上がった。原告側は「隣の団地や近くのディズニーランドでは、地盤改良が実施され、被害も軽かった」と指摘する。「道路1本隔ててなぜこんなに被害が違うのか?」「危険性を知らなかったはずはない」。住民たちの素朴な疑問が法廷で争われる。 分譲地は、JR新浦安駅の南約500メートルに広がる。約1万平方メートルに1棟数戸で構成される白い木造の住宅が並ぶ。駅から徒歩10分前後で、バブル期は1億円を超えた。分譲時に5~6倍の抽選に当たり、3000万円台後半で購入したという原告男性(72)は「東京に近く、戸建てスタイルでこの値段。魅力的だった」と振り返る。
 しかし、震災では敷地から砂が噴出し、地面が陥没。建物は傾き、給水管やガス管が破損した。上下水道は約1カ月使えず、傾く家で過ごすうちにめまいなどで体調を崩し、借家生活の住人もいる。 一方、道路を1本はさんだ旧日本住宅公団(現都市再生機構)が分譲販売した鉄筋コンクリートの低層住宅では、上水道は数日で復旧し、住宅の傾きもほとんどなかった。別の原告男性(62)は「同じ時期に埋め立てられたはずなのに。被害の差の理由を知りたい」と首をかしげるが、三井不動産側は「当時の資料が残っていない」と説明し、詳しい事情はわからない。この男性は「人生でも大きな買い物。安心して住めるよう、作り手の責任を問題提起したい」と話している。【山縣章子】
毎日新聞 2012年2月2日 東京夕刊

<4>http://www.j-cast.com/tv/2012/02/03121063.html?p=all
「浦安液状化訴訟」傾いたマイホームの損害賠償請求勝てるか?2012/2/ 3 10:11 東日本大震災液状化現象で家が傾くなどの被害を受けた千葉・浦安市の27戸の住民32人が、きのう2日(2012年1月)、宅地を開発した三井不動産と系列会社を相手取って、「適切な地盤改良をしなかった」と、約7億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。
 田中喜代重弁護士が解説した。訴えた理由は2本立てで、(1)予見できたのにやらなかった不法行為と(2) 売買の瑕疵担保責任不法行為の方は、先に作ったURは地盤改良をしていたのに三井不動産はしなかったと原告は主張しているが、田中は「URは 鉄筋住宅で重いので強化する必要があったのかもしれない。一方、三井の方は木造なので同列に論じられるかどうか」という。 羽鳥「パイルは地盤のためではなかったかもしれない?」 また、不法行為は20年間しか責任を問えない。ここは30年経っている。除訴期間の始点をどこに持ってくるか。さらに2つ目の瑕疵担保責任は1年までだ。 田中「結論から言うと、どうなるかはわからない。また、相手が三井不動産という大きな会社だったから裁判もできるが、相手によっては不平等も起るということ」
 <以上,抄録>