仙台高裁秋田支部の無期判決に思う

高裁も無期を維持ということでしたね。
報道からうかがうに、裁判所的にはやや極刑には厳しい事案なのでしょう。
上告してもひっくりかえらないのではないかと思います。

>「こうした中、審理では被告人質問や精神科医の尋問に時間を割くとともに、
>豪憲君の両親も再び尋問、処罰感情に耳を傾けるなど
>多面的に被告の内面や事件に迫ろうとした姿勢は評価できるのではないか。」
ということで裁判所をほめている記事もみましたが、、
重大事件を短縮しようとする裁判員制度の流れに対して
少し疑問符が付いてきたような気がします。
重大事件は大変なものなのでそれなりに時間をかけるという姿勢の方が
裁判への信頼を高めると思います。

また、報道の判決批判には、死刑の基準が明確にならないというものもありますが、
明確にするという理由で極刑を選択するのは、安易な厳罰化の気がしてなりません。

ところで、報道でちょっと面白いものがあったので紹介します。
河北新報の記者は分かってて書いたんでしょうか?

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090326/trl0903260237000-n1.htm
【主張】秋田2児殺害判決 死刑回避には疑問が残る
2009.3.26 02:37
この判決では、「2人の前途ある将来を奪った結果の重大性は言葉に言い尽くせない」としながら、「死刑を選択するほかないと断じることには躊躇(ちゅうちょ)する」として結局、死刑とする判断を避けた。無期懲役は判決後おおむね20年前後で反省の態度が認められれば、仮釈放になって社会復帰するケースが多い。
(産経)

http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2009/03/20090326s01.htm
死刑と無期/隔てる境界見えにくくて 
 無期懲役の運用実態も、ほとんど知らされてこなかった。無期とはいっても20年程度で仮釈放されると思っている人はまだ多い。
 裁判員制度が5月に始まると、わたしたちの誰でもが、死刑か無期かの選択を担わされる。境界があいまいで不透明なままでは、たまらない。少しでも改善されるよう求めていこう。
河北新報)2009年03月26日木曜日

ちなみに、法務省のホームページを見ると
10年前に仮釈放された人でも平均20年以上で、最近はかなり長くなっています。
仮釈放を受けられないまま死亡した人の人数の方が多いという点も重要です。
この数字からすれば、おおむね反省すれば20年前後で出てくるというのは誤りと言って良いでしょうね。

http://www.moj.go.jp/HOGO/hogo20-2.pdf
「無期刑新仮釈放者の仮釈放時点における平均在所期間は,
平成10年に20年10月であったところ,平成15年には23年4月,
平成17年には27年2月と長期化しており,
平成19年の無期刑新仮釈放者1人については,在所期間が31年10月となっている。
また,この10年間に刑事施設内で死亡した無期刑受刑者の数は,
合計120人であり,仮釈放となった無期刑受刑者の数を上回っている。」